CData
調査レポート

Claude Code に企業向け MCP サーバーを作らせてみました。本番運用には届きませんでした。

MCP は、AI エージェントのデータアクセスを一変させました。AI コーディングツールは、ソフトウェアの作り方を一変させました。では、この 2 つを掛け合わせれば、本番環境で安心して使えるコネクタが手に入るのか。確かめてみました。

企業が安心して MCP を使えるかを左右する 8 つの評価軸(OAuth トークンのライフサイクル、大規模データセットでの挙動など)で検証しました。見えてきたのは、「データにつながる」ことと「データを確実に届ける」ことの間にある、無視できない差です。Claude Code は、前者はクリアできても、後者はクリアできませんでした。

検証は 2 フェーズ、計 9 セッション。フェーズ 1 は最小限のプロンプトだけ、フェーズ 2 は専門家の指導を加えました。
わずか
1 / 8
の評価軸が、人の介入なしで合格
3
つの評価軸は、専門家の指導でも未解決のまま

調査結果

8 つの評価軸は、いずれも実運用で起きる失敗パターンに対応しています。基準に届かない代償は、クエリがひとつ失敗することではありません。AI エージェントが不完全なデータを黙って返し、古いレコードのまま業務判断が下され、エンジニアリングチームが問題に気づくのは数週間後。代償は、そうした形で表れます。

専門家の指導で、いくつかのギャップは埋まりました。しかし、本当に重要なギャップは埋まらないままでした。”
評価軸
素の Claude Code
専門家の指導あり
実運用への影響
OAuth トークンのライフサイクル
不合格
一部合格
コンプライアンス担当者が 25,000 件をエクスポート。360 ページ目で、警告もなく処理が止まります。画面上は完了。実際には完了していません。
フィールド取得の方式
合格
合格
業務部門が追加したカスタムカラムも、そのまま自動で反映。スキーマが変わっても、作り直しは要りません。
フィールド名のわかりやすさ
一部合格
一部合格(改善)
AI の答えは AuthorLookupId: 83。これを渡されたユーザーに、できることはありません。
ツールパラメータの設計
一部合格
一部合格(改善)
クエリを投げるたびに、ユーザーが見たこともない識別子を IT 部門が用意することになります。MCP の売りだったセルフサービス性は、そこで消えます。
リストのリレーション処理
不合格
一部合格
取引先と請求書をまたぐ質問に、返ってくるのは生の ID だけ。エージェントは答えを出せません。
ページネーションの正確性
不合格
合格
6,000 件あるリストが返すのは 5,000 件。警告は、ありません。欠けたデータのまま意思決定が進みます。
大規模データセットでの挙動
不合格
合格
12,000 件のエクスポートが、警告もなく 10,000 件で止まります。欠落が見つかるのは数週間後、ハードウェア監査の場です。
エラー処理と耐障害性
不合格
一部合格
15 件取るだけのクエリが 5 分間応答せず、結果はゼロ。ユーザーは、二度とそのツールを開きません。
凡例:
合格:
人の介入なしで正しく実装されている
一部合格:
動作はするが不足がある
不合格:
実装が誤っているか存在せず、人による原因調査と書き直しが必要

どこで破綻したのか

Claude Code は「動くソフトウェア」を作ることに最適化されています。しかし企業の本番環境が求めるのは、「動き続けるソフトウェア」です。しかも、最初の実装が想定していなかった条件のもとで。ギャップは、この一点から生まれます。

音もなく起きるデータ欠落

ルックアップカラムを 13 個持つリストにクエリを投げると、サーバーはそのうち 1 つを黙ってレスポンスから落としました。警告もエラーもなし。受け取ったデータが欠けていることを、エージェントは知るすべがありません。


ページネーションのハルシネーション

6,500 行のリストから全件取得するよう指示すると、エージェントは「有効な結果は 500 件」と報告して処理を打ち切りました。取得ループに陥ったと誤って判断したためです。プロキシで確認すると、8 ページすべてが正しく取得できていました。間違っていたのは、エージェントの数え方でした。


使いものにならないフィールドデータ

ハイパーリンクのカラムが返したのは、使えるデータではなく生の Java オブジェクト参照。フィルターとソートのパラメータは、動いているように見えて黙って無視されていました。何を渡しても、返ってくるのは絞り込まれていないデータセット全体です。


共通するパターン:コンパイルが通るコードと、本番で通用するコードの距離は、見た目よりずっと遠いということです。

テスト手法


9 セッション、2 フェーズ フェーズ 1:素の Claude Code に、最小限のプロンプトだけ。フェーズ 2:経験豊富な開発者が、構造化したワークフローと CLAUDE.md、プラン先行の実装で臨みました。

8 つの評価軸 いずれも、本番運用に耐えるコネクタの基準に対応しています。正確性、セマンティックな名前解決、大規模データでの耐障害性、認可の忠実な再現、機能の深さ、変化への適応性といった観点です。

合格 / 一部合格 / 不合格 合格:人の介入なしで正しく動く。
一部合格:実運用の条件では不足が出る。
不合格:人が原因を調べ、書き直す必要がある。

実データ、現実的な規模 検証はすべて本番の SharePoint 環境で。3 件のリストから 40,000 件超のリストまで、規模を変えて試しました。合成テストデータは一切使っていません。

調査レポートを入手する

エグゼクティブサマリー

主な調査結果と、実運用への影響を添えた評価一覧。失敗パターンの分析から結論まで、要点だけを凝縮しました。

調査レポート全文

テスト手法の詳細と、2 フェーズ分の評価軸別の結果。自社開発か製品導入かを検討しているチームへの示唆まで踏み込んでいます。

比較分析レポート

Claude Code が生成したコネクタと CData Connect AI を、同じ 8 つの評価軸で比べたらどうなるのか。スクリーンショット、ログの抜粋、ツール呼び出しのトレースまで添えて、両者を並べて評価しました。