
株式会社IDOM は中古車買取のパイオニアであり、中古車販売のリーディングカンパニーです。中古車の買取・販売を行う「ガリバー」で知られ、全国に460店舗を展開しています。
同社では、Web 検索からLINE 登録、来店予約、商談、成約に至るまでの多様化する顧客接点のデータが各種システムに分散しており、マーケティング施策の効果測定や顧客行動の全体像把握が困難な状況でした。この状況を変えるため、マーケティングチーム主導でデータ基盤の構築に着手。ETL / ELT ツールとして『CData Sync』を採用し、日次で約200GB に及ぶ多様なデータソースをGoogle BigQuery に集約することで、顧客単位でのカスタマージャーニーの可視化を実現されました。
Challenges:
オウンドメディアへの流入→来店→購入といったカスタマージャーニーの全体像が把握できず、タッチポイント毎の売上貢献の計測が困難
メンバーごとにGA4やスプレッドシートで個別集計を行っており、「どの数字が正しいのか」が不明確。マーケティングチーム全体で統一的な数値共有ができていない
売上に至るまでのカスタマージャーニーの可視化に関わるデータが各業務システムに分散・サイロ化(GA4、Amazon Redshift、DynamoDB、SQL Server等)
Solutions:
LINE のユーザーIDを軸としてWeb行動データと来店・商談データをBigQuery に統合することにより、カスタマージャーニーの可視化を実現
Looker Studio でダッシュボードを構築することで、マーケティングチーム全体で統一された数値を見ることが可能に
CData Syncで多様なデータソース(Amazon Redshift、DynamoDB、LINE API等)をGoogle BigQuery にノーコードで統合。20接続・約100タスクの大規模連携をマーケティングチーム主導で実現
本件をリードされている、マーケティングチーム オムニコマースセクション データ抽出チーム・リーダーの名古屋湧己氏にお話を伺いました。
Q:今回のプロジェクトに取り組まれた背景を教えてください。
名古屋氏:弊社は中古車の買取と販売を主に行っている会社です。その中で私が所属しているのはマーケティングチームの「オムニコマースセクション」で、ガリバーのオウンドメディアの運用や、そこに付随する施策を考えている部署です。その中で私は「データ抽出チーム」のリーダーを担当しています。
今回のプロジェクトは「お客様がオウンドメディア含めたWeb サイトでどんなものを見て、どんな経緯で来店しようと思ってくれて、結果どんな車を売ったり買ったりして、その後どうなったのか?」そういった顧客行動を繋げて、マーケティング施策の立案に活かしたいというのが出発点でした。
これまでも、オンライン施策によってオフラインの店舗送客につなげた顧客数などの管理は行っていました。そこから次のステップとして、お客様の行動起因が何なのか、どのようにしたらより必要性を感じていただいているお客様に届けられるのかなど、より詳細なカスタマージャーニーの分析や施策改善に取り組むため、データ整備の必要性が高まりました。
しかしながら今まではWeb での流入から来店、商談に至るまでのオフライン・オンラインのカスタマージャーニー全体にわたる可視化・分析ができていなかった点が大きな課題でした。Web のデータについてはメンバーがそれぞれGA4 上で分析していたものの、基幹システムに存在する商談や売上のデータと結びついていないため施策がどの程度実際の売上に繋がっているのかわからない状態だったのです。
オウンドメディアのKPI は、どうしても接触数になりがちです。その先のKPI は営業の力量次第なので、正直マーケティングとしては関与できないといえば関与できません。でも、最終結果としてどんな車を買ったかを見たら、アプローチの仕方が工夫できます。
例えば「トヨタのアルファードが欲しい」と言って来店した人が、最終的にホンダのフリードを買っていたとしたら、もうちょっと事前にフリードの情報を出したら購入スパンを短くできたかもしれません。あるいは、ボトルネックがコストであれば、検討しやすいローンの紹介を多めに出してあげたりとか、そういう工夫ができるんじゃないかと思うんです。
最終着地地点を正確に把握することでリアリティが出ますし、マーケティングのアロケーション(予算配分)の最適化ができると思っています。
そこで今回LINE のユーザーID を軸としてWeb 行動データと来店・商談データをBigQuery に統合することにより、カスタマージャーニーの可視化を実現しようと考え、データ分析基盤の構築に着手しました。
Q:ETL ツールとしてCData Sync を選ばれた理由を教えてください
名古屋氏: データをGoogle BigQuery に集めようと決めたものの、全部バッチを書いたりするのは現実的ではありません。手軽にデータ統合ができる製品がないかと同僚が探して見つけてきたのがCData Sync でした。
選定のポイントは、まずコネクションの豊富さです。カスタマージャーニーを可視化するにあたって、社内のサイロ化した様々なデータソースの統合が課題であったため、コネクタの豊富さは重要なポイントでした。特にフロント領域は各種マーケティングツールが多い中で、様々なアーキテクチャやツールを検討しましたが、上記の観点で様々なバッチや多数の連携ツールを必要としない、BigQuery × CData Sync の組み合わせが最も適していると判断しました。
価格体系がシンプルで、コスト面での優位性があったのも決め手の1つです。
データ連携ツールとしては一番最初に入れたものですが、結果的に非常に満足しています。
私自身は今年の5月にこのプロジェクトを引き継いだのですが、実際に使ってみてこの選択肢が一番良かったなと感じています。
Q:製品の使い勝手や導入効果はいかがでしたでしょうか?
名古屋氏:まず画面が非常に使いやすいです。一般的なソフトウェアは操作方法をしっかりと学習しなければいけないですが、CData Sync は必要な項目を入力して、数クリックで繋がります。これは素晴らしい点だと思いました。
それから、サポートの返信が迅速かつコンスタントに来るというのも嬉しいポイントでした。他社製品では、なかなか返信が来なかったり、調査に時間がかかったりするんですが、CData のサポートはコンスタントに状況のアップデートが返ってくるので、不安になることが少なくとても助かっています。
最終的にデータソースとしては、Amazon Redshift の基幹データ、DynamoDB から自社アプリ、そしてLINE のチェックイン機能のデータをAPI で連携しています。現在全体では20のコネクション、約100のタスクで日次バッチ処理を回し、毎日約200GBのデータをCData Sync 経由でBigQuery に連携しています。BigQuery 全体のデータボリュームとしては、データレイク用のデータセットには約1870GB、加工後の分析用のデータセットには約300GB ほどのデータが格納されています。
開発期間の面では当初のスクラッチで実装した場合の想定に比べると10分の1は削減できたと思います。コストの面でも、外部に委託した場合と比較するとかなりの削減になったのではないかと思っています。
それと、見過ごされがちですが、スクラッチで作った後のメンテナンス費用も大事なポイントです。CData Sync は常にアップデートが提供されていきますので、追加アップデート対応のコストが不要になります。そういう意味でも、CData Sync を使うことで本当に大幅なコスト削減ができました。
Q:実際にどのようなダッシュボードを構築されたのでしょうか?
名古屋氏:大きく3つのダッシュボードを作りました。
1つ目は、SMS / LINE / メール配信施策の効果測定ダッシュボードです。HubSpot でこれらの配信管理をしていますが、そのログと開封率などを集計して、Looker Studio に素早く出せるようにしました。おかげで今まで手動でやっていた月3回の集計作業が自動化できました。
このダッシュボードを作成した成果として、開封やアクションの解像度が高まり施策の精度が上がりました。情報を比較的迅速に取得できる体制ができたため、現在SMS を活用した新しい施策も複数立ち上がっています。
2つ目は、LINE アンケートと商談データの分析です。今まで紙で書いてもらっていた受付表を全部オンラインに移行したので、LINE のアンケートの回答をした人がどんな商談をして、どんな車を最終的に買っていったかというのが見えるようになりました。
このダッシュボードは現在、施策開発側だけでなく現場でも重要なインプットとして活用されています。さらに最近では店舗向けの簡易ダッシュボードも作成しており、お客様へのアプローチ前の意思決定プロセスに変化をもたらしています。
3つ目が、顧客行動の可視化です。顧客ID 単位で、いつ最初にWeb サイトに訪問して、何ヶ月ぐらいWeb サイトをどんなページを閲覧して、何かのきっかけで来店予約をして、実際に商談して……という一連の流れを時系列に出せるようにしました。これはカスタマージャーニーマップのようなものを可視化したものですが、もう少し改良を加えながら見ていかないといけないかなと思っています。
このダッシュボードも施策開発を迅速に行うための重要なインプットとして活用されています。また、こういった取り組みを進めるにつれ、施策開発チームからの抽出要望も増えてきました。オムニコマース全体で、行動データに基づいた仮説ベースで施策を考える文化が少しずつ形成されています。
Q:今後の展望について教えてください。
名古屋氏:例として挙げた3つのダッシュボードなど、リアル店舗とデジタル領域のデータを統合しデータの利活用を深める取り組みを行うことで、オフラインとオンラインの境界線のない、より解像度の高いマーケティング施策及び、顧客体験を生み出すことができると考えています。
データ分析基盤の構築に明確な終わりは無いと思いますが、まずは当初の計画の80%まではしっかりと作りきることを今期の目標としています。
それから、まだ取れていないデータに領域を広げていきたいと考えています。特にテレビCM やSNS などのオフライン系の数字がありますね。Web 系の数字は取れるので、そこをメインに施策を組むのは大事だと思うのですが、オフラインデータも含めて全体を見られるようになったら、もっと精度の高いマーケティングができると思っています。
ダッシュボードだけでなく、データ活用の幅も広げていきたいです。社会人4年目かつ、転職して半年くらいでリーダー職を任せていただいており、 CData Sync をはじめとした新しいツールの導入や、先進技術への投資を行っている会社なので、この足を止めることなく、引き続きベテラン若手両方の強みを活かしたチームで、本施策を成長させていきます。
