複数のエンタープライズシステムに散らばる経理・財務データ。チームが即座にセルフサービスでアクセスできる環境を作ろうとした経験があるなら、決して簡単な作業ではないとご存知でしょう。それでも、手作業によるレポート作成をなくしてビジネスを加速させるには、重要な経理・財務データを LLM(大規模言語モデル)搭載のアシスタントと連携させることが欠かせません。
本ガイドでは、ガバナンスの効いたデータレイヤーとして CData Connect AI を活用し、AI コーディングアシスタントを用いて自然言語対応の経理・財務アシスタントを構築した手法を解説します。このアーキテクチャをエンドツーエンドで実証する実際に動作するアプリケーション「CFO Copilot」も紹介しています。LLM をリアルタイムの企業データに接続する方法を模索している場合でも、自社チーム向けに同様のアプリケーションを構築しようとしている場合でも、ここで紹介するアーキテクチャ、プロンプト、パターンが、構想から実動するプロトタイプへの道筋をサポートします。
課題の理解
構築を始める前に、そもそも何がこの問題を難しくしているのかを正確に把握しておきましょう。経理・財務部門を支援する際に IT チームが直面する、核心的な課題を整理していきます。
経理・財務チームには数値が必要です。その数値は、買掛金・売掛金については Sage Intacct に、パイプラインや CRM データについては Salesforce に、あるいはどこかのスプレッドシートに存在しています。経理・財務チームが数値を必要とするたびに、チーム内の誰かが各ソースからデータを抽出し、形式を統一し、数値を照合して、結果を報告しなければなりません。このプロセスには数時間、時には数日かかることもあります。
これをすべての報告サイクル、取締役会、臨時のリクエストに当てはめると、チームは週に 10〜15 時間を手作業でのレポート作成に費やしている計算になります。
インフラが変わると、事態はさらに複雑になります。企業が ERP を移行する場合(例えば SAP から NetSuite へ)、以前のシステムの API にハードコーディングされていたすべての連携が動かなくなります。一からやり直しになるため、非常に大きな負担です。
根本的な原因はツールの不足ではありません。データがシステム間で断片化されており、AI アプリケーションがすべてにアクセスできる、ガバナンスの効いた統一レイヤーが存在しないことが問題なのです。
CData Connect AI を利用する理由
では、数十のシステムに分散するデータへ、LLM が統一的にアクセスできるようにするにはどうすればよいのでしょうか。間にガバナンスの効いたレイヤーを挟む、それがまさに CData Connect AI が提供するものです。
CData Connect AI は、MCP(Model Context Protocol)サーバーを通じて企業のデータソースを公開します。LLM とビジネスデータの間のユニバーサルアダプターとして機能し、経理・財務チームが使用するすべてのデータソースに対してカスタムコネクタを作成する必要がなくなります。LLM を CData Connect AI の単一の MCP エンドポイントに向けるだけで、認証、クエリ変換、スキーマ検出、アクセスガバナンスをすべて代行して処理してくれます。
仮に、Sage Intacct 用のカスタム連携、Salesforce 用の別個の連携を構築し、両スキーマを統一するための正規化レイヤーを追加し、さらにその上にガバナンスを適用して、自然言語データツールをゼロから構築するとしたら、数ヶ月の作業を要するでしょう。しかし、すべてを Connect AI の MCP エンドポイント経由でルーティングすれば、これらすべてをガバナンスの効いた単一のインターフェースへの標準 SQL クエリに集約できます。連携にかかる工数は、四半期を要するプロジェクトから、週末で作れるプロトタイプへと一気に縮小されます。
CData MCP サーバーが AI と企業データをどのように接続しているかについて詳しくは、技術概要で基盤となるアーキテクチャを解説しています。
アーキテクチャの設計
自然言語データアシスタントを構築するには、明確で階層化されたアーキテクチャが欠かせません。適切な設計なしに進めると、LLM 統合の複雑さ、データソースとの接続、プロンプトエンジニアリングの課題に一度に直面し、チームが圧倒されてしまいます。
以下は、CFO Copilot で採用した階層型アプローチです。構築したいアプリケーションであれば、同様のアプローチを活用できます。
データ層:Connect AI が単一の MCP エンドポイントを通じて 350 以上のデータソースへの接続をすべて担います。
バックエンド層:Express.js が 3 段階のクエリパイプライン(自然言語から SQL への変換 → MCP 経由での SQL 実行 → 結果のフォーマット化)を調整します。
LLM 層:LLM が自然言語クエリを処理し、SQL を生成し、フロントエンド向けに結果をフォーマットします。
フロントエンド層:React がインラインチャートやデータテーブルを使って、フォーマットされたレスポンスをレンダリングします。
設計時に役立つ、簡単なチェックリストを示します:
対象となるデータソースを特定し、Connect AI 経由でアクセスできることを確認します。
LLM プロバイダーを決定し、少なくとも 1 つの API キーを設定してみてください。
ユーザーが最もよく使うテーブルと列を洗い出します。これらが、AI コーディングエージェントがアプリケーションの土台を作る際のプロンプトの指針になります。
フロントエンドの構築を始める前に、ユーザーの役割とアクセス権限を定義しておきましょう。
AI コーディングエージェントと Connect AI MCP でアプリケーションを構築する
Connect AI の MCP 連携により、開発ワークフローは根本から変わります。コネクタを手動で書いたり、スキーマを構築したり、API 呼び出しを実装したりする代わりに、AI コーディングエージェントを Connect AI MCP サーバーに直接接続するだけで、データソースを検出させ、利用可能なテーブルを把握させ、アプリケーションの土台作りをエージェントに任せられます。
Connect AI MCP を使ってアプリケーションを構築する全プロセスを見ていきましょう。
最初のステップは、Connect AI の MCP サーバーを AI コーディングエージェントに接続することです。この例では Claude を使います。具体的な手順については、CData Connect AI を Claude に接続するステップバイステップガイドをご覧ください。視覚的なガイドとして、Claude Remote MCP 設定手順の動画もご参考にしてください。
Connect AI と Claude の接続が完了したら、チャット画面を開いて、MCP のツールと利用可能なデータソースを読み込むよう指示します。エージェントが MCP の機能を理解したら、アプリケーション全体の要件を説明する詳細なプロンプトを入力します。
以下は CFO Copilot で使用したプロンプトです(必要に応じて修正してお使いください):
「React、Vite、TypeScript、Tailwind CSS を使用して、CData Connect AI の MCP によるリアルタイムデータアクセスを基盤とした経理・財務アシスタントアプリを構築してください。このアプリには、事前定義されたクエリカード(売掛金残高、仕入先支出、CRM パイプライン、成約案件、主要経費)を備えた自然言語ダッシュボード、検索とページネーション機能付きの生データテーブルを閲覧できるデータブラウザ、チャートをインラインで表示するチャットベースのレポートアシスタント、再実行機能付きのクエリ履歴タブ、および 3 つのペルソナ(全情報を閲覧できる CFO、業務に重点を置くコントローラー、機密データがマスクされた AP 担当)向けのロールベースのアクセス権限が必要です。AI エージェントは、財務用語(COGS、EBITDA、DSO、運転資本)、会計期間、総勘定元帳(GL)の構造を理解し、誤った数値を含まず、明確な表・要約・計算結果を返す必要があります。」
これだけです!AI コーディングエージェントは Connect AI MCP に直接アクセスできるため、利用可能なテーブルスキーマを自動的に読み取り、実際のデータ構造に基づいてアプリケーション全体を構築します。
結果として、単一の要件プロンプトとライブの MCP 接続から、フロントエンド・バックエンド・データ接続機能を備えた完全に動作するアプリケーションが出来上がります。あとは要件の変化に合わせて、フォローアップのプロンプトで機能を追加したり、UI を調整したり、データソースを拡張したりと、自由に改善を重ねていけます。


Connect AI でのロールベースのアクセス制御の実装
機密性の高い経理・財務データを扱う際は、厳格なアクセス制御が欠かせません。アプリケーション全体を通じて、ユーザーが自身のロールに応じたデータのみを閲覧できるようにする必要があります。
このアプリケーションでは、データの可視範囲がそれぞれ異なる 3 つのロールを実装しています:
ロール | アクセスレベル |
|---|
CFO | すべての経理・財務データおよびインサイトへのフルアクセス |
経理責任者 | 業務に重点を置いたデータへの完全なアクセス |
買掛金担当 | アクセス制限あり。機密数値はプレースホルダーで隠蔽されます |
本番環境では、Connect AI のインターフェースでこれらの制御を設定してください。各ロールごとに個別の接続プロファイルを設定することで、制限されたデータがシステム外に流出しないようにできます。
Connect AI が代替する機能の検証
Connect AI が提供する価値を具体的に把握するために、Connect AI なしで構築が必要だったものと、Connect AI があれば実際に必要なものを比べてみましょう:
課題 | Connect AI なしの場合 | Connect AI ありの場合 |
|---|
データソースへのアクセス | カスタム API 連携、セッション管理、独自クエリ構文 | MCP エンドポイント経由の標準 SQL |
認証情報(クレデンシャル)の管理 | 各ソースごとに認証情報(クレデンシャル)を個別にローテーション・管理 | 単一の認証トークン |
アクセスガバナンス | カスタム認証レイヤーの構築が必要 | Connect AI レベルで設定可能 |
メンテナンス | ソース API が変更されるたびに連携を更新 | CData 製品がコネクタを保守 |
このパターンを財務分野以外にも展開する
CFO Copilot は 1 つのユースケースに対応したものです。しかし、その基盤となるアーキテクチャは、AI による企業データへのガバナンスの効いたアクセスが必要なあらゆる場面に応用できます:
IT 運用:IT 運用チームであれば、同じパターンを活用して、Jira チケット全体の SLA 違反をリアルタイムで可視化するアシスタントを構築できます。
人事分析:人事チームであれば、データアナリストに依頼することなく、過去 12 ヶ月間の部門別離職率をすぐに確認できます。
セールスインテリジェンス:レベニューオペレーションチームであれば、今四半期に成約する可能性の高いパイプライン案件を特定し、経営陣のレビュー用にフラグを立てられます。
サプライチェーン:物流チームであれば、倉庫ごとの平均フルフィルメント時間を監視し、配送 SLA に影響が出る前に遅延を検知できます。
いずれの場合も、ワークフローは同じです。AI コーディングエージェントを Connect AI MCP に接続し、データを検出させ、詳細な要件プロンプトを与えて構築する。データソースや問いかけの内容は変わっても、パターンは変わりません。
今すぐ始めてみましょう
完全なソースコードは GitHub で公開しています。
クイックスタートのチェックリストです:
リポジトリをクローンし、npm install を実行します
Connect AI の認証情報を記載した .env ファイルを作成します
LLM API キーを少なくとも 1 つ追加します(最初は無料の LLM API キーで問題ありません)
npm run dev を実行して、React フロントエンドと Express バックエンドの両方を起動します
CData Connect AI アカウントと LLM API キーがあれば、10 分以内に動かせます。
CData Connect AI で AI 活用ツールの構築を始めよう
自然言語データツールの構築に、数ヶ月もの独自連携作業は必要ありません。CData Connect AI が単一の MCP エンドポイントを通じてガバナンスの効いたデータアクセスを担うため、チームはインフラではなくアプリケーション本体に集中できます。
14 日間の無料トライアルを今すぐ開始して、自分のアプリケーションを構築してみましょう!
※本記事は CData US ブログ Build a Finance AI Assistant with Real-Time Data の翻訳です。
CData Connect AI を今すぐ体験
セキュアなリアルタイムデータアクセスで、財務 AI アシスタントを構築してみましょう
無償トライアルを始める