データ管理はますます複雑になり、組織はその変化への対応を迫られています。データへのアクセスや管理における従来のアプローチは複雑で柔軟性に欠けるため、データニーズや環境の変化に伴いさまざまな課題が生じます。こうした背景から、データファブリックやデータメッシュといった新しい戦略が登場し、現代のデータチームが異なる環境にまたがる大規模で複雑なデータセットを扱えるよう支援しています。
データファブリックとデータメッシュはどちらも、組織が収集する膨大なデータを効率的に管理する手段を提供しますが、そのアプローチは根本的に異なり、それぞれに固有の強みと弱みがあります。本記事では、両方の用語を定義し、各方法の長所と短所を説明したうえで、2つを比較していきます。組織にとって最適な選択肢を見極める参考にしてください。
データメッシュとデータファブリックとは?
名前は似ていますが、この2つはデータの処理、分析、価値抽出に大きく影響する、明確に異なるアプローチです。両者の最も大きな違いは、誰がデータを管理するかという点にあります。どちらもデータ管理における複雑さとスケールの増大に対応するものですが、その哲学的・実践的な立場は異なります。データメッシュはデータオーナーシップの民主化・分散化モデルを提供し、データファブリックはデータ統合と管理のための統一的かつ自動化されたフレームワークを提供します。
それぞれの基本を見ていきましょう。
データメッシュとは?
データメッシュアーキテクチャは、データを「プロダクト」として扱う方法論です。組織のIT部門が一元管理するのではなく、組織内の個々のグループ(ドメイン)が自分たちのデータを管理します。データは分散化されており、そのデータに最も精通したチームがコントロールを持ちます。各ドメインは、管理するデータの収集、保存、変換、活用に責任を負います。
データメッシュにはいくつかの利点があります。
ドメインオーナーシップ: 各ドメインが関連データを所有・管理します。このユーザー中心のアプローチはアカウンタビリティを促進し、データが適切に管理され、組織全体で容易に共有できるよう最適化されます。
カスタマイズされたデータプロダクト: ドメインは、組織内の他部門が特定の用途に必要とするデータプロダクトを提供します。
スケーラビリティ: データメッシュでは各ドメインが独自のアーキテクチャをスケーリングでき、必要に応じた的確な拡張・縮小が可能です。
データ品質: ドメインごとの要件に基づいて、カスタマイズされたデータ品質チェックを適用できます。
ただし、データメッシュを導入する前に考慮すべき点もあります。たとえば、データメッシュには時間とリソースの大きな投資が必要になる場合があります。組織全体で標準やプラクティスを統一するのはより複雑になりがちです。一貫したデータセキュリティとガバナンスの適用にも課題が伴い、意図しないサイロを防ぐためにドメイン間で高度な調整とコミュニケーションが求められます。また、組織としてデータリテラシーを優先し、すべてのメンバーが担当するデータセットを理解し、効率的に管理できるようにする必要があります。
データファブリックとは?
データファブリックは、データメッシュとは対照的なアプローチと考えることができます。より集中型のデータアーキテクチャであり、組織全体にわたるデータの統合的で一体化されたレイヤーの構築に焦点を当てています。データがどこに存在するかに関係なく、組織のすべてのデータへの統一的なアクセスを実現するよう設計されています。
データファブリックの利点は以下のとおりです。
アクセスの簡素化: データファブリックではデータが集約されるため、異なるソースからのデータ統合・集約が容易になります。
集中型ガバナンス: ガバナンスやセキュリティ対策の適用、プロセスの標準化がしやすくなります。
データ仮想化: 仮想アクセスレイヤーによりライブデータへのアクセスを提供し、リアルタイムのアナリティクスとインサイトを実現します。
データファブリックの潜在的なデメリットとしては、インフラストラクチャの初期構築にかかる複雑さとコスト、管理・メンテナンスに必要な専門スキルが挙げられます。データファブリックを経由するデータは、取り扱いの誤りや漏洩のリスクが高まる可能性があり、セキュリティ対策が複雑になることもあります。既存のITリソースの容量も考慮が必要で、拡張が求められる場合があります。また、レガシーシステムがデータファブリックのアプローチにすぐには適応できないケースもあります。
データメッシュとデータファブリックの違いは?
これら2つのアプローチの核心的な違いを理解することは、どちらを選ぶかの判断に直面する組織にとって非常に重要です。それぞれが、意思決定やイノベーションを推進するためのデータの管理・統合・活用について、異なる設計思想を提供します。ここでは、いくつかの重要な観点から両者の主な違いを詳しく見ていきます。
データガバナンスとセキュリティ: データメッシュは分散型ガバナンスを推進し、自身のデータを最もよく理解する個々のドメインがデータセキュリティとコンプライアンスを管理します。これにより、より的確なガバナンス戦略が可能になりますが、組織全体での一貫性とコンプライアンスを確保するために強力な連携が必要です。一方、データファブリックはデータを集中管理し、すべてのデータ資産に対して均一なポリシーと保護を適用することでガバナンスとセキュリティを強化します。コンプライアンス管理はシンプルになりますが、カスタマイズ性は制限されます。
データオーナーシップと管理: データメッシュアーキテクチャでは、データのオーナーシップと管理は組織内の専門的なドメイン固有のチームに属します。チームはデータのスチュワード(管理者)として機能し、アカウンタビリティとイノベーションを促進します。ただし、サイロ化を避けてドメイン間の整合性を確保するには、明確なコミュニケーションと協力が不可欠です。一方、データファブリックはデータのオーナーシップと管理を中央のエンティティに集約します。効率性と統一的なガバナンスは強化されますが、ドメインの専門家が直接関与する機会やレスポンスの速さが制限される場合があります。
適合性: データメッシュは、ドメイン固有の自律性を重視し、チーム間で技術的卓越性の文化を持つ組織に適しています。複雑で分散したデータソースと環境を持ち、専門家によるコラボレーションとオーナーシップが奨励される企業に理想的です。データファブリックは、特に多様なシステムやプラットフォームにまたがるデータ統合・分析のために、統一的なエンタープライズ全体のアプローチを必要とする組織に最適です。データランドスケープ全体の集中管理と統一的な可視化を必要とする企業に向いています。
データ統合と自動化: データメッシュアーキテクチャでは、各チームがデータを独立して管理・統合し、多くの場合、専門的な自動化ツールを使ってデータプロダクトをカスタマイズします。これにより柔軟性とドメイン固有の最適化が得られますが、相互運用性を確保するための調整が必要です。対照的に、データファブリックはデータ統合と自動化の取り組みを集中化し、すべてのデータソースとデスティネーションにまたがるまとまりのあるフレームワークを提供します。エンタープライズ全体でのデータ共有がより速く簡単になりますが、ドメインレベルでのカスタマイズ性はやや低くなるというトレードオフがあります。
データプロダクトとデザイン: データメッシュアプローチでは、データはプロダクトとして扱われ、各ドメインチームがコンシューマーのニーズを満たすためにデータプロダクトの設計、メンテナンス、進化に責任を持ちます。このユーザー中心のデザインへのフォーカスにより、データプロダクトがユーザーにとって直接的に関連性が高く、価値のあるものになります。一方、データファブリックはデータサービスの設計とプロビジョニングを集中化し、組織全体での一貫性と効率性を目指します。データプロダクトへのアクセスと利用を効率化できますが、データメッシュのドメイン固有アプローチほど、異なるユーザーグループの個別ニーズに精密に対応できない場合もあります。
データファブリック vs データメッシュ:それぞれを選ぶタイミング
データメッシュとデータファブリックの選択は、組織の具体的なデータニーズと構造的な好みによって決まります。データメッシュは、異なるチーム間での自律性を重視し、チーム内外で強力なコラボレーションを持つ組織に最適です。このアプローチを選ぶ組織は、ドメイン固有の迅速なインサイトを優先するために、多様で分散化されたデータの複雑さに対応できる体制を備えている必要があります。一方、データファブリックは、さまざまなデータソース、システム、プラットフォームにまたがる統一的なデータガバナンスとシームレスな統合を必要とする組織により適しています。専門的でリアルタイムのインサイトよりも、データランドスケープの全体像、一貫性、効率性が優先される場合に向いています。
多くの組織にとって、データ管理戦略に万能のソリューションはありません。ハイブリッドアプローチは、データメッシュのドメイン固有のアジリティとデータファブリックの統合的なガバナンスを組み合わせ、分散型イノベーションと集中型の効率性の両方をサポートするカスタマイズされたアーキテクチャを構築します。このミックス&マッチ型のスタイルは、組織全体のさまざまな要件を満たす柔軟でバランスの取れたデータ管理戦略を提供します。
いずれの場合も、新しいデータ戦略を採用するには、既存のデータランドスケープと組織構造を十分に評価する必要があります。十分なクラウドストレージとコンピューティングリソースが必要であり、新しいデータ統合ツールや仮想化ツールの導入が求められる場合もあります。また、クロスファンクショナルチームの実現、データリテラシーの向上、よりデータ中心のアプローチに向けた幅広いアクセスの提供に向けて、組織文化の変革が必要になることもあります。
データメッシュを選ぶべきケース
複雑で多様なデータ: 幅広いデータ型とソースを持つ環境に理想的です。データメッシュにより、ドメイン固有のチームが専門知識をデータ管理・活用に直接活かせます。
厳格なガバナンス: 異なる業界規制への厳密なコンプライアンスを必要とする組織では、データメッシュにより各ドメインが独自のガバナンス基準を実装・維持できます。
分散型オーナーシップ: ドメインレベルでの自律性と意思決定を奨励する企業に最適で、イノベーションと対応力を加速させます。
データメッシュのユースケースと例
コンプライアンスレポート: データメッシュはドメイン固有のコンプライアンスレポートを推進し、財務やHRなどの部門が該当する規制に準拠するためにデータを正確に管理・報告できるようにします。
データからのインサイト抽出: マーケティングやセールスなどのチームが、ライブの顧客データに基づいて迅速な分析を独立して実施し、顧客エンゲージメントとロイヤルティを向上させるターゲット戦略の策定に活用できます。
外部データ: データメッシュは、R&Dチームが外部データソースを統合・活用することを支援し、アジリティとイノベーションを促進します。
データファブリックを選ぶべきケース
レガシーデータウェアハウスの統合: 既存のワークフローを中断することなく、レガシーシステムをモダナイズして統合したい組織に理想的です。
データサイロの解消: 組織全体でサイロに閉じ込められたデータの環境を効率化します。異なるデータソースを接続する統一レイヤーを提供することで、データへのアクセスと分析がより容易になり、情報に基づいたアクションが可能になります。
ハイブリッド/マルチクラウド管理: ハイブリッドまたはマルチクラウド環境で運用する組織に最適です。さまざまなクラウドプラットフォームにわたるデータ管理と分析のためのまとまりのあるフレームワークを提供します。
データファブリックのユースケースと例
リアルタイムインサイトの実現: データファブリックにより、IoTデバイス、ソーシャルメディアフィード、ERP(エンタープライズリソースプランニング)システムなど、多様なソースからのライブデータを統合できます。これにより、グローバルな運用モニタリング、サプライチェーンの最適化、市場トレンドの予測がサポートされ、意思決定のスピードと精度が向上します。
データの統合とオーケストレーション: 小売チェーンは、データファブリックアーキテクチャを活用して、オンラインショッピング行動と実店舗での購入、在庫レベルを組み合わせることができます。これにより、パーソナライズされたマーケティング施策と効率的な在庫管理が実現し、顧客体験と運用効率の向上につながります。
データ品質の維持: データファブリックアーキテクチャにより、医療機関は患者記録、治療履歴、研究データをさまざまなソースから統合システムに集約できます。これにより、医療従事者は正確かつ最新の患者情報にアクセスでき、より適切な治療判断とケア連携が可能になります。
データアーキテクチャの将来に備える
データ管理がより複雑になるにつれ、データメッシュとデータファブリック戦略の適用方法について、将来の展望を形作る新しいイノベーションや適応が登場しています。こうしたトレンドに歩調を合わせることで、組織はデータ管理戦略が効果的で、コンプライアンスに準拠し、将来を見据えたものであることをより確実にできます。
自動化と人工知能(AI)
データファブリックとデータメッシュの両方のアーキテクチャにAIと自動化を統合することで、効率性と精度がますます向上しています。AIはデータ品質チェックやコンプライアンスモニタリングなどのルーチン的なデータガバナンスタスクを自動化し、チームがより大規模な取り組みに集中できるようにします。さらに、AI駆動のアナリティクスはパターンの特定や異常の検出を迅速に行い、意思決定を加速させ、正確な予測を可能にします。
プライバシーとセキュリティの強化
グローバルなデータプライバシーおよびセキュリティ規制はますます厳格化しています(例:欧州のGDPR、カリフォルニアのCCPA)。組織はこれまで以上にプライバシーとセキュリティを優先する必要があります。集中型のデータファブリックアーキテクチャは、より高度な暗号化手法やプライバシー保護技術を取り入れる方向に進化すると考えられます。同様に、データメッシュアーキテクチャも、各ドメインに組み込まれた標準化されたセキュリティプロトコルを通じて、地域ごとに異なる規制に対応していく必要があります。
エッジコンピューティングの台頭
データ生成源の近くでデータを処理するエッジコンピューティングは、データメッシュの原則と自然に一致します。IoTデバイスとリアルタイムデータ処理がますます普及するにつれ、ローカルな意思決定をサポートしレイテンシを削減するために、データメッシュアーキテクチャの採用が拡大する可能性があります。一方、データファブリックはデータ同期機能を強化し、エッジデバイスと中央データベース間のシームレスな統合を確保することで、エッジコンピューティングへの対応を進化させていく可能性があります。
あなたの道を選ぶ
データ管理の変革に着手するには、組織の現在の能力、将来の目標、データランドスケープ固有の課題を慎重に検討する必要があります。データメッシュのドメイン主導の自律性を目指すか、データファブリックの統合的な管理を目指すかにかかわらず、その選択は単なる技術的な導入にとどまりません。ビジネス目標に沿ったデータ文化への戦略的コミットメントを意味します。
この旅は、1つの決定で終わるわけではありません。組織が進化するにつれ、データアーキテクチャへのアプローチも変化し、新たなニーズを満たすために両方の長所を融合させていく可能性があります。どの道を選んでも、目標はデータの力を最大限に活用し、成長とイノベーションを推進する実用的なインサイトに変えることです。
データメッシュの自律性とドメイン固有のコントロールが必要な場合でも、データファブリックの統一的で統合された視点が必要な場合でも、CDataはその道のりをサポートするソリューションを提供します。データファブリックアプローチをお考えですか?CData Syncは堅牢なデータ統合機能を備え、必要なデータを必要なときに必要な場所で確保します。リアルタイムでセキュリティ重視のライブデータアクセスをお求めなら、CData Connect AI がデータメッシュアーキテクチャを効率化し、高速なデータ分析とドメイン重視のデータ管理を実現します。
※本記事はCData US ブログ Data Mesh vs Data Fabric: 5 Differences to Know Which One is Best for Your Business の翻訳です。
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