デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増える中、大きなビジネス課題のひとつが「データサイロの解消」です。分断されたデータを解放し、より良いデジタル顧客体験の提供や、意思決定に活かせるデータ活用を実現することが求められています。
ハイブリッドクラウドは、業務データの管理を自社で維持しながら、クラウド上でのモダナイゼーションを推進できる理想的なモデルです。パブリッククラウドを活用して消費者行動の分析やデータドリブンな意思決定を進めつつ、オンプレミスのアプリケーションで基幹業務をしっかりと支える――そうしたバランスの取れた DX を実現できます。
デジタルトランスフォーメーションへの投資
IDC の推定によると、2020 年から 2023 年にかけてのデジタルトランスフォーメーション投資は合計 6.8 兆ドルに達し、2022 年時点で世界の GDP の 65% がデジタル化されています。さらに同社は、2022〜2024 年にかけて投資の年間複合成長率(CAGR)が 16.5% に加速したと報告しています。
DX 推進の主な原動力は、マーケティング施策への投資拡大と、消費者の情報行動の変化がビジネスの俊敏性に及ぼす影響の 2 つです。
今や企業は、デジタルチャネル、ビジネスツール、ソーシャルメディア上での消費者のやり取りから膨大なデータを収集し、購買者の嗜好・行動・ニーズに関する貴重な知見を得られるようになっています。ただし、こうした知見を実際に活用するには、データの統合・分析を行い、業務オペレーションやプロセスに反映させて、顧客満足度とロイヤルティの向上につなげていく必要があります。
消費者主導の時代 ― 情報の主導権は買い手の手に
デジタル以前の時代、マーケティングやメディアミックスの主導権はマーケター側にありました。消費者はそれを受け入れるか、無視するかの二択だったのです。しかし今日では、どのメディアやコンテンツに触れるかを選ぶのは買い手のほうです。
.個人消費者であれ企業の担当者であれ、今日の買い手は自分が好むチャネルで、パーソナライズされた有益なコンテンツを求めています。デジタル接続のスピードは、消費者に「すぐに手に入る」体験をもたらしました。リアルタイムのやり取りがカスタマーエクスペリエンスの土台となり、買い手がどのように企業と関わり、購入に至るかを左右します。消費者は製品やサービスを素早くリサーチし、十分な情報をもとに購買判断を下せるようになっています。
こうした「消費者自ら主導する購買行動」への変化に対応するには、企業全体で最新の顧客データを横断的に収集・把握していく必要があります。
マーケティング・顧客対応チームは、買い手がどのように企業と関わっているかを理解し、顧客の要望やニーズを先回りしたシームレスなアプローチ戦略を設計していくことが求められます。
営業・サポートチームは、コミュニケーションの効率化と情報共有の促進を通じて、消費者が期待する利便性を提供していくことが大切です。
オペレーションチームは、購買データから知見を引き出し、将来の購買行動を予測して、販売機会を最大化するアプローチを検討する役割を担います。
カスタマーサクセス・リテンション・リニューアルチームは、顧客の成功を支援するアフターセールス体験を設計し、ロイヤルティの確保につなげていきましょう。
では、こうした顧客との接点を強化し、カスタマーファースト・デジタルファーストの戦略へとシフトするにはどうすればよいのでしょうか?その答えがデジタルトランスフォーメーションです。
デジタルビジネスへの進化にはデジタルトランスフォーメーションが不可欠
変化する市場や競合に素早く対応するには、デジタルファーストの考え方を取り入れることが欠かせません。DX に本格的に取り組むことで、外部環境の変化にスピーディーかつ柔軟に対応でき、ブランドや市場でのポジション、競争優位性を守るための迅速な意思決定が可能になります。さらに、業務の効率化を通じて IT 人材をより高度なタスクに振り向けられるようになるメリットも期待できます。
DX を推進する最大の原動力はイノベーションへのニーズです。しかし、データが社内の各所にサイロ化されたままでは、全体像を把握することが難しく、イノベーションは生まれません。データが分断されていると、現在の顧客体験が将来の収益・利益目標にどう影響するのかを正しく評価できず、機会損失のインパクトも見えなくなってしまいます。
クラウド戦略を策定する企業や意思決定者が目指しているのは、単なる IT サービスの効率化にとどまりません。ビジネスパフォーマンスの向上、イノベーションの推進、データに基づく知見の獲得、そして確実なビジネス成果の実現です。データをクラウドに移行し、クラウド分析の処理速度を活かすことで、市場拡大・顧客リテンション・ブランド強化・競争優位性といった幅広い経営目標に貢献するデータを手に入れることができます。
クラウド投資から確実に価値を引き出すこと ― そのための戦略設計こそが成功のカギです。
どの組織にとっても、DX はビジネスの運営方法、顧客やパートナーへの価値の届け方、カスタマーエクスペリエンスの最適化を根本から変える旅です。同じ道のりは 2 つとありません。変革の対象となる組織の要素を見極め、それが全体のビジネス戦略にどう影響するかを判断しながら、自社ならではの道筋を描いていく必要があります。そして、その DX をどのように見込み客や顧客に伝えていくかは、企業が構築するカスタマージャーニーとブランド体験にかかっています。
ビジネスモデルと DX 戦略は互いに影響し合う
DX は、価値創造・顧客エンゲージメント・収益源の確保において、より新しく効率的な方法を明らかにすることでビジネスモデルに変革をもたらします。一方で、ビジネスモデルの側も、DX の効果を最大化し目指すビジネス成果を達成するために必要なテクノロジーやワークフローの方向性を決定づけます。
新たな収益源:デジタルテクノロジーと分析から得られる知見を活用することで、DX は企業にさまざまな収益機会をもたらします。
データの収益化:DX を通じて、企業はオンラインの見込み客や顧客が生み出す膨大なデータを収集・蓄積・分析できるようになります。このデータは、デモグラフィック、嗜好、オンライン行動や購買行動、興味・関心などに関する顧客理解を深めるための基盤となります。企業はこのデータを収益化してサードパーティベンダーに提供したり、社内のステークホルダーと共有して業務改善に役立てたり、新しい製品やサービスの開発に活かしたりできます。
サブスクリプションサービス:DX は、サブスクリプション型サービスのような新たな価格設定・提供モデルを生み出すきっかけにもなります。こうしたモデルにより、安定的な収益サイクルの構築と顧客ロイヤルティの醸成を同時に実現できます。
E コマース:DX は、自社在庫を持つ従来型の実店舗だけでなく、ドロップシッピング(在庫を持たずに顧客注文を受け付けるモデル)やソーシャルコマースといった新しい E コマースモデルにも、オンライン販売という新たな収益源をもたらしました。
新しい製品・サービス:データに基づく知見から新たな製品機会を発見し、イノベーションの創出につなげ、モバイルアプリ、デジタルコンテンツ、バーチャルイベントなどのデジタル製品を含む製品開発に活かすことができます。
流通チャネルの最適化:DX から得られる知見は、利益率の改善やイニシアチブの推進、ディストリビューター・パートナーとのエコシステム全体でのコラボレーション強化に役立ちます。こうした知見は、ソーシャルメディア、モバイルアプリ、マーケットプレイスなどのデジタルチャネルを活用した情報発信、製品・サービスの販売、そしてより効率的な顧客へのリーチにも貢献します。
パーソナライゼーションとカスタマイゼーション:デジタルテクノロジーは、製品やサービスのパーソナライゼーション・カスタマイゼーションを可能にし、個々の顧客ニーズに合わせた対応を実現します。小売業やサービスプロバイダーはデータ分析を活用して、顧客や見込み客にパーソナライズされたレコメンデーションを提供できます。
アジャイルなオペレーション:クラウドコンピューティング、AI、自動化といったテクノロジーを活用することで、DX は企業の俊敏性を高め、市場の変化や顧客ニーズの変動にすばやく対応できる体制づくりを支援します。
コラボレーションエコシステム:DX は、顧客、サプライヤー、パートナー、その他のステークホルダーをつなぐコラボレーションエコシステムを構築します。チーム間で協力しながらイノベーションや成長の機会を捉え、社内ステークホルダーの強みと専門知識を最大限に活用できる環境が生まれます。
ハイブリッドクラウドが DX を推進する
オンプレミスインフラとクラウドベースのリソースを組み合わせたハイブリッドクラウドモデルは、今やエンタープライズの標準になっています。
数百社の Cisco 顧客を対象にした調査では、回答した組織の大多数(92%)が複数のパブリッククラウドを利用していることがわかりました。各クラウドの強みを活かすだけでなく、運用の俊敏性、セキュリティ、アプリケーションパフォーマンス、事業の回復力を向上させる目的もあるとされています。
Red Hat の 2022 年版『Global Tech Outlook Report』でも、DX を推進する企業はプライベートクラウドやパブリッククラウド単体に頼るのではなく、ハイブリッドクラウド戦略を幅広く採用していることが確認されています。レガシーアプリケーションの技術的負債の削減や IT サービス提供の迅速化が、ハイブリッドクラウド導入のメリットとして挙げられました。
Flexera の『State of the Cloud Report 2023』では、世界各国の企業に所属する 750 人のクラウド意思決定者を対象に調査を実施し、72% がハイブリッドクラウドモデルを採用していることが明らかになっています。
以前のブログ記事でも触れましたが、ハイブリッドクラウドの柔軟なアーキテクチャにより、あらゆる企業が自社に最適な構成を設計できるようになっています。オンプレミスシステムとパブリッククラウドという基本要素は共通していても、実際に組み合わせるアプリケーション、システム、ツール、クラウドプラットフォームは企業ごとに異なります。ビジネス要件の変化に伴い、自然と各社固有のハイブリッドクラウド環境が形作られていくのです。
IT チームがハイブリッドクラウドを支持する理由もそこにあります。自社のニーズに最適なオンプレミスとクラウドテクノロジーの組み合わせで、独自のハイブリッドクラウドアーキテクチャを設計・運用できるからです。
CData の強み
CData Sync は、DX を推進する中でのデータ連携・レプリケーションのニーズをしっかりと支える、信頼性が高くコストパフォーマンスに優れた強力なツールです。ぜひCData Sync をお試しください!
※本記事はCData US ブログ Hybrid Cloud: The Model of Choice for Digital Transformation の翻訳です。