Salesforce × Claude でデータ分析、 つまずいた3つの壁【CData Connect AI 実践編】

by 桑原桃香 | May 14, 2026 | Last Updated: May 14, 2026

image.png


こんにちは!CData Software Japan セールスチームの桑原です。

この記事は「CData Connect AI × Salesforce 連携 3ステップ」の続編です。CData Connect AI は、Salesforce などの業務データを Claude から直接参照できるようにするツールです。

前回は「つなぐ方法」を紹介しましたが、今回は「つながったけど、思った答えが返ってこなかった」話をします。


やろうとしたこと

Salesforce に蓄積された受注データをもとに、製品ごとの契約データを Claude に分析してもらおうとしました。「どのくらい売れているか、すぐわかるだろう」――そう思っていました。
でも、考えが甘かったです。

この記事では、CData 製品の一つである「Excel Add-In for kintone」を例にご紹介していきます。
Claude への質問はこう入力しました。

私:Salesforce のデータを参照して、Excel Add-In for kintone の契約数の内訳をサマリーしてください。

Claude:承知しました。Salesforce のテーブルを調べてデータを取得します……

数秒後、Claude は集計結果を返してくれました。一見、完璧な回答に見えました。でも――


壁1:「契約数」のつもりが、欲しい情報が出てこない

Claude が最初に参照したのは「Contract(契約)」テーブルでした。「有効」「終了」「移行済み」といったステータス別の件数は返ってきたものの、私が本当に知りたかった「これまでにいくつ売れたか」が出てきません。Claude に確認すると、こんな返答が。

Claude:Contract テーブルはライセンス契約の状態(台帳)を管理するもので、製品ごとの明細情報は持っていません。「いくつ売れたか」を知りたい場合は、購買トランザクションの記録である OrderItem テーブルの方が適しています。

つまり「契約数」という言葉を使っても、AI が参照するテーブルは必ずしも意図通りとは限らない――これが最初の壁でした。

Slide1.png

テーブルを確認したところ、上図のような違いがありました。そこで OrderItem テーブルに切り替えて再集計をお願いしましたが、今度は別の問題が起きました。


壁2:同じ製品なのに、バラバラに集計された

テーブルを OrderItem に切り替えて再集計してもらったところ、今度は件数が想定と合いません。
原因を確認すると、同じ「kintone 向け製品」が複数の名前で登録されていました。

  • kintone Excel Add-In

  • CData Excel Add-In for kintone

  • Excel Add-In for Kintone (← 大文字K)

Claude はこれらを別々の製品として集計していました。語順が違う、頭に「CData」がついている、「Kintone」と大文字になっている――Salesforce 上では3種類の名前で登録されていたのです。

これは、多くの会社の Salesforce で自然に起きることだと思います。
製品名が変わった、入力システムが変わった、担当者が変わった――そのたびに過去のデータと表記が少しずつズレていく。誰のミスでもなく、時間の積み重ねで生じる"揺れ"。
人間がレポートを手で作るときも、同じ苦労をしているはずです。


壁3:新規と更新が混ざったまま集計されていた

テーブルも修正し、名寄せもできた。これで完璧――と思ったら、最後の壁が待っていました。
Claude で分析を進めていたとき、ふと気になったことを聞いてみました。

私:このデータには Renewal(更新)も含まれていますか?

Claude:はい、含まれています。現在の集計には新規(NewSale)と更新(Renewal)の両方が混在しています。「新たに購入した顧客がどれだけいるか」を知りたいなら NewSale のみ、「継続して使い続けている顧客数」を知りたいなら Renewal のみで見る方が実態を反映します。

「いくつ売れたか」という問いに見えて、実は2つの異なる問いが混ざっていました。

新規と更新で分けて集計し直すと、同じ製品のデータなのに、見え方がまるで変わりました。
「売れた数」という一言の裏に、実は2つの異なるストーリーが隠れていたのです。


まとめ:3つの壁と、その乗り越え方

壁1:「契約数」のつもりが、欲しい情報が出てこない(データモデルの理解)

「契約数」という言葉一つでも、Contract・OrderItem など、Salesforce 上では参照すべきテーブルが変わります。参照すべきテーブル名(今回の場合だと OrderItem テーブル)をしっかり指定しておくと、より精度の高い回答が得られます。

乗り越え方:「OrderItem テーブルを参照して集計してください」と、テーブル名を明示する。

壁2:同じ製品なのに、バラバラに集計された(データ品質の理解)

「表記が揺れているものは名寄せして、同じ製品としてまとめて集計してください。」とプロンプトに一言加えると、Claude が表記ゆれを自動で統合してくれるようになりました。ただし、どの表記を同一製品とみなすかのルールは、AI が把握しきれない部分です。事前に自分でルールを指定してあげると良いです。

乗り越え方:名寄せのルールをプロンプトに明示する。

壁3:新規と更新が混ざったまま集計されていた(指標の定義)

「新規(NewSale)と更新(Renewal)を分けて集計してください」と条件を明示したことで、整理できるようになりました。

乗り越え方:集計の条件(新規/更新の区分)をプロンプトで指定する。


最初の質問からやり取りは10往復以上かかりましたが、Salesforce のレポート機能で手動でやろうとしたら、もっと時間がかかっていたと思います。
3つの壁を乗り越えた結果、最終的には新規・更新を分けたデータソース別の分析ができるようになりました。

Slide2.png

※ この画像は、Claude との実際のやり取りをもとに一部内容を加工した再現画像です。実際の Salesforce のカスタムフィールド名、数値とは異なります。


振り返ってみると、どの壁も「AI が使えない」のではなく「自分が参照するデータのことを理解しきれていなかった」という話でした。どのテーブルを見るべきか、製品名がどう登録されているか、新規と更新が混在していること――「データ構造を理解したうえで、AI をうまく使う」という組み合わせが大事だと実感しました。

とはいえ、データ構造を最初から完全に理解していなくても大丈夫です。CData Connect AI があれば、AI と対話しながら社内データの構造を一緒に探索できます。それがこのツールの一番の強みだと感じています。

この内容が社内データを AI で活用しようとしている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。


試してみたい方へ