こんにちは。CData Software Japan の色川です。
CData がサポートするデータソースの中でも kintone はとても人気の高いものの1つです。そんな kintone ですが、近年では日本国内での利用シーンのみならず「海外拠点でも使っている kintone を、現地の業務システムとつなぎたい」というご相談を頂く場面が増えてきました。
北米で広く使われているクラウド会計の QuickBooks Online と kintone をつなぎたい、というご相談もその1つです。グローバルで広く使われている SaaS や業務システムへの業界最多級のコネクタを提供している CData にとって、まさにお役に立てるシナリオです。
この記事では「CData Arc で、kintone の受注からQuickBooks Online の請求書を作成する」方法をご紹介します。
CData Arc
CData Arc は、CData 製品の中で「自動化/Automate」を担うデータ連携ツールです。「B2B 連携をもっとシンプルに」をコンセプトに、ファイル連携 & DB 連携 & API 連携といったB2B 連携に必要なすべてをノーコード・ローコードでつなぐことができるプラットフォームです。

Arc には kintone と QuickBooks Online の双方に専用のコネクタ(kintone コネクタ、QuickBooks Online コネクタ)があり、どちらもレコードの取得(Select)や登録・更新(Upsert)、値の参照(Lookup)といった連携アクションをノーコードで構成できます。
グローバルに広がる kintone
サイボウズ社のこちらのページによると、kintone は世界中で 43,000 社以上に導入が進んでおり、海外では中華圏で 1,410 社、東南アジアで 760 社、米国で 900 社の導入が広がっているそうです(2026年10月時点)。日本と海外の拠点で kintone を活用している事例も紹介されています。
kintone の UI は日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・スペイン語・タイ語・ポルトガル語・マレー語に対応しているので、各国現地のスタッフもそれぞれの言語で活用することができます。各国の法令や商習慣にあわせてアプリを素早く変えられるノーコードの良さは、海外拠点でもそのまま活きるところかと思います。
一方で、海外拠点では会計や販売管理といった業務システムが、日本とは違う現地の SaaS であることも多いです。そのため kintone で起票した情報(データ)を、現地の業務システムにもう一度入力している、というお話もよく伺います。現地で利用されている外部システムとの連携は、kintone をグローバルで活用していくときのポイントの1つと言えるでしょう。
このブログでも、これまでに「シンガポールやマレーシアで広く使われている会計ソフト SQL Account に kintone のデータを取り込む方法」などをご紹介しました。SQL Account は指定されたフォーマットでファイルを取り込む形、今回の QuickBooks Online は API でつなぐ形と、連携の方式は異なりますが、どちらも同じ CData Arc で連携を自動化することができます。
QuickBooks Online
QuickBooks Online は、米国の Intuit 社が提供するクラウド会計サービスです。米国をはじめカナダや英国、オーストラリアなどで提供されていて、北米を中心に中小企業の会計で定番と言える存在です。日本ではあまり馴染みがないかも知れませんが、米国やカナダに拠点や子会社がある企業では、現地の会計に QuickBooks Online が選ばれていることも多いと思います。
QuickBooks Online は、取引先や品目、請求書、入金といったデータを API で外部に公開していて、他のサービスとつないで使われることを前提にした会計サービスでもあります。kintone と QuickBooks Online の連携で分かりやすい例といえば、「kintone のレコードから QuickBooks Online の請求書を作る」シナリオです。
この記事のシナリオ
この記事では「kintone の受注のうち、請求日が入ったものを QuickBooks Online の請求書として登録し、登録された請求書の ID を kintone に書き戻すシナリオ」をご紹介します。
kintone 側には、kintone アプリストアの「受注・売上管理」アプリをベースとして使いました。受注した後の請求と入金を管理するためのテンプレートで、取引先名・作業内容・請求日・請求金額・入金予定日といった、請求書を作るのに必要な項目が最初から揃っています。

テンプレートに加えた変更は、金額の単位を「円」から「$」にしたことと、連携済みかどうかの目印になる「QuickBooks 請求書 ID」の項目を追加したことの 2 点です。アプリを作成した後、QuickBooks Online のサンドボックス会社にある取引先の名前で受注をいくつか登録しました。

事前準備
この記事では、以下の環境で検証しました。
製品・サービス | 内容 |
CData Arc | CData Arc 2026(26.3.9783.0) |
kintone | kintone 開発者ライセンスの環境 |
QuickBooks Online | Intuit Developer のサンドボックス会社(米国) |
QuickBooks Online は、Intuit Developer のアカウントを作成すると、サンプルデータ入りのサンドボックス会社を無償で利用できます。実際の会計データに触れずに連携を試せるので、検証にはとても便利です。
Arc では「設定」→「接続」で、kintone とQuickBooks Online の接続を作成しておきます。

QuickBooks Online の接続はOAuth 2.0 で認証します。サンドボックス会社に接続する場合は「Use Sandbox」を有効にしておきます。

連携フローの作成
このシナリオで作成する連携フローは、以下の 2 つです。
# | フロー | コネクタ | 内容 |
1 | 請求書の作成 | kintone(Select) | 請求日が入っていて、まだ連携していない受注を取得 |
| | QuickBooks Online(Lookup) | 取引先名から QuickBooks Online の取引先 ID を取得 |
| | XML Map | 受注を QuickBooks Online の請求書の形に変換 |
| | QuickBooks Online(Upsert) | 請求書を登録 |
2 | 請求書 ID の書き戻し | kintone(Select) | まだ請求書 ID が入っていない受注を取得 |
| | QuickBooks Online(Lookup) | 請求書番号から QuickBooks Online の請求書 ID を取得 |
| | kintone(Upsert) | 受注に請求書 ID を書き戻し |
完成したフローは以下のようになります。

それではArc のフローデザイナーで連携フローを作成していきます。
1. 請求書の作成
kintone コネクタ(Select)
最初に、kintone の受注・売上管理アプリから請求対象の受注を取得する kintone コネクタを設定します。この連携フローのはじまり(起点)となるコネクタです。アクションは「Select」で、レコード番号(RecordId)・取引先名・作業内容・請求日・請求金額・入金予定日・備考を取得します。

取得する受注は「請求日が入っていて、まだ QuickBooks 請求書 ID が入っていないもの」に絞り込みます。テーブル名を右クリックして「テーブル設定」を開き、「カラム」タブで「QuickBooks請求書ID」も取得する項目に加えておきます。そのうえで「フィルタ」タブで「フィルタを追加」から、以下の 2 つの条件を追加します。
項目 | 条件 |
請求日 | Null ではない |
QuickBooks請求書ID | Null |

書き戻しのフローで請求書 ID が入った受注は、次からは取得されなくなります。
この記事では、「高度な設定」で「Use Code For Field Name」を有効、「Use Unit For Numeric Field」を無効にしています。前者で項目名がフィールドコードになり、後者で金額の項目名に単位が付かなくなります。受注・売上管理アプリのように金額に単位を設定しているアプリでは、後者を無効にしておくとマッピングがすっきりします。

QuickBooks Online コネクタ(Lookup)
次に、QuickBooks Online の取引先 ID を取得する QuickBooks Online コネクタを設定します。QuickBooks Online の請求書には取引先を ID で指定する必要があるので、kintone の「取引先名」から ID を引いてきます。アクションは「Lookup」です。
Lookup アクションは、取得した値をフローを流れているメッセージに挿入するアクションです。Lookup アクションについては「こちらの記事」でも詳しくご紹介しています。「Lookup の設定」は「デザイナー」で、以下のように指定しました。
項目 | 設定 |
テーブル | Customers |
カラム | Id |
アウトプットデスティネーション | XPath。親レベルは /Items/受注・売上管理、新しいノード名は CustomerRef |

検索の条件は、「フィルタ」で「フィルタを追加」から指定します。項目に「DisplayName」(取引先の表示名)、条件に「次と等しい」を選び、値の種類を「入力XML」にして、kintone から取得した取引先名の XPath(/Items/受注・売上管理/取引先名)を指定します。これで、受注ごとに取引先名と表示名が一致する取引先の Id が「CustomerRef」としてメッセージに追加されます。

「一致するレコードが見つからない場合のアクション」は「失敗」のままにしています。kintone の取引先名が QuickBooks Online 側の表示名と一致しない場合はエラーになるので、取引先の登録漏れや表記ゆれにすぐ気付くことができます。
XML Map コネクタ
続いて、XML Map コネクタで受注を QuickBooks Online の請求書の形に変換します。この記事では、QuickBooks Online 側の登録先に InvoiceLineItems テーブルを使います。InvoiceLineItems は請求書の明細 1 行を 1 レコードとして扱うテーブルで、請求書のヘッダ情報(請求書番号や取引先など)と明細の情報を 1 レコードに並べて持たせます。受注 1 件につき明細 1 行の請求書を 1 枚作るので、受注 1 件を InvoiceLineItems の 1 レコードに対応付けます。
ソース側のテンプレートには、Lookup で CustomerRef が追加された後のメッセージをサンプルファイルとしてアップロードして使いました。こうしておくと、Lookup で追加した CustomerRef もマッピングの画面で選択できます。

この記事では、以下のようにマッピング(対応付け)しました。
kintone(受注・売上管理) | QuickBooks Online(InvoiceLineItems) |
RecordId(レコード番号) | DocNumber(請求書番号) |
CustomerRef(Lookup で取得) | CustomerRef |
請求日 | TxnDate |
入金予定日 | DueDate |
備考 | PrivateNote |
(固定値)SalesItemLineDetail | Line_DetailType |
作業内容 | Line_Description |
(固定値)1 | Line_SalesItemLineDetail_ItemRef |
請求金額 | Line_Amount |
請求書番号には kintone のレコード番号をそのまま使っています。明細の区分(Line_DetailType)には固定値の「SalesItemLineDetail」を指定します。受注・売上管理アプリでは品目を管理していないので、品目(Line_SalesItemLineDetail_ItemRef)には QuickBooks Online のサンドボックスにある「Services」(Id は 1)を固定値で指定しました。実際の環境では、ご利用の QuickBooks Online にある品目の Id を確認して指定してください。

QuickBooks Online コネクタ(Upsert)
最後に、QuickBooks Online に請求書を登録する QuickBooks Online コネクタを設定します。アクションは「Upsert」で、テーブルに InvoiceLineItems を指定します。キーになる Id を渡していないので、新しい請求書として登録されます。

これで「請求書の作成」のフローが完成しました。
2. 請求書 ID の書き戻し
続いて、QuickBooks Online に登録された請求書の ID を kintone の受注に書き戻すフローを作成します。こちらは XML Map を使わず、3 つのコネクタだけで構成しています。
kintone コネクタ(Select)
起点となる kintone コネクタは、レコード番号(RecordId)と QuickBooks請求書ID、請求日の 3 つの項目を取得します。「テーブル設定」のフィルタには、1 つ目のフローと同じ 2 つの条件(請求日が Null ではない、QuickBooks請求書ID が Null)を指定します。

QuickBooks Online コネクタ(Lookup)
次に、1 つ目のフローと同じ要領で、QuickBooks Online の請求書 ID を取得する Lookup を設定します。テーブルは Invoices、カラムは Id です。取得した請求書の Id は、メッセージの「QuickBooks請求書ID」(kintone から取得した時点では空の項目)に入れるよう、アウトプットデスティネーションを指定します。

フィルタでは、項目に「DocNumber」(請求書番号)、条件に「次と等しい」を選び、値の種類を「入力XML」にして kintone のレコード番号の XPath(/Items/受注・売上管理/RecordId)を指定します。

こちらの「一致するレコードが見つからない場合のアクション」は「IGNORE」にしています。まだ請求書が作られていない受注は、そのまま次の実行に回ります。
kintone コネクタ(Upsert)
最後に、受注に請求書 ID を書き戻す kintone コネクタを設定します。アクションは「Upsert」で、RecordId をキーに「QuickBooks請求書ID」を更新します。Lookup が値を入れる項目と kintone のフィールドコードが同じ名前なので、XML Map を挟まずにそのまま書き戻せます。前のコネクタの出力に、次のコネクタが受け取る項目名が揃っていれば、変換なしでそのままつなげられます。コネクタ単位でインプットとアウトプットを設計できる Arc の利点の1つと言えるかも知れません。

これで「kintone の受注のうち、請求日が入ったものを QuickBooks Online の請求書として登録し、登録された請求書の ID を kintone に書き戻すシナリオ」のフローが完成しました。
連携フローの実行
作成したフローを実行して確認してみましょう。kintone の受注・売上管理アプリでは、レコード番号 9 と 10 の受注に請求日と請求金額を入力しました。どちらも「QuickBooks 請求書 ID」はまだ空です。

1 つ目のフローの起点となる kintone コネクタで、「トリガー開始」の「手動で受信」を実行します。QuickBooks Online を開くと、kintone のレコード番号を請求書番号にした請求書が登録されていることが確認できます。取引先も、Lookup で引いた ID のとおりに設定されています。


続いて、2 つ目のフローの起点となる kintone コネクタで「手動で受信」を実行します。kintone の受注一覧を開くと、レコード番号 9 と 10 に QuickBooks Online の請求書 ID が書き戻されていることが確認できます。


実際の運用では、各フローの起点のコネクタで「オートメーション」を有効にして、定期的に実行する形になるかと思います。例えば、請求書の作成を 15 分おき、書き戻しをその数分後、といった構成です。なお、書き戻しが終わる前に請求書の作成のフローがもう一度動くと、同じ受注から請求書が二重に作られることがある点には留意が必要です。書き戻しが先に終わるよう、実行間隔にゆとりを持たせておくと安心です。
まとめ
この記事では「CData Arc で、kintone の受注からQuickBooks Online の請求書を作成する」方法をご紹介しました。
kintone の受注から QuickBooks Online の請求書を作成するという実務的な連携フローを、とてもシンプルに構成・自動化できることをイメージいただけたかと思います。入金状況を kintone に反映したり、明細の多い請求書を扱ったりといった応用も、同じ Lookup や XML Map の組み合わせで広げていくことができます。
QuickBooks Online に限らず、海外拠点で使う kintone を現地の会計や業務システムとつなぎたいときには、ぜひ CData の活用をご検討ください。
CData での kintone 連携方法に関する全体像については、こちらの「kintone ソリューションページ」や「kintone の連携方法を総まとめ」もあわせてごらんください。
CData Arc はシンプルで拡張性の高いコアフレームワークに、豊富なMFT・EDI・エンタープライズコネクタを備えたパワフルな製品です。業界最多級のコネクタにより、業種業界を問わず、企業のデータ連携自動化で幅広く活用いただけます。
皆さんのつなぎたいシナリオでぜひ CData Arc を試してみてください。
製品を試していただく中で何かご不明な点があれば、テクニカルサポートへお気軽にお問い合わせください。
この記事では CData Arc™ 2026 - 26.3.9783.0 を利用しています