CData Connect AI で LLM のコストと安全性をベンチマークする方法
AI エージェントの頭脳には、どのモデルを選ぶべきか?業務データを活用するチームでは、この議論が絶えず繰り返されており、議論のほとんどはモデルの能力比較で終わってしまいます。しかし、適切に設計されたデータアクセス基盤があれば議論の前提が変わります。すべてのモデルが同じツールを通して同じガバナンス管理下のデータに到達できるようになると、どのモデルもおおむね同じ正解にたどり着きます。そうなると残る本当の変数は、そこに至るまでのコストです。
この記事では、4つのプロバイダー(Anthropic、OpenAI、Google、xAI)の9モデルに3つのシステムに対して同じガバナンス管理下でデータタスクを実行させてみました。タスクは、ポートフォリオの健全性を読み取る(R1)、2つのビューを組み合わせて読み取る(R2)、そしてガバナンス管理下での書き戻しを行う(A1)、の3 種類です。各タスクは、ベースラインとして生のソーステーブルに対して 1 回、専用に構築した CData Connect AI の Toolkit(AIに公開するツールを制御できる機能)を経由して 1 回実行し、公開結果としては 9 モデル × 7 つのタスク×条件セルで合計 413 回のスコア付き実行となりました。
この記事では、リポジトリのクローンから、3 つの Google スプレッドシートのワークブックをデータソースとして接続し、Connect AI の Toolkit を構築してマトリクスを実行し、結果を読み解くまでの流れを紹介します。そのうえで、ハーネスが各タスクをどう採点しているかも解説します。同じ手順は、CData が対応する数百種類のデータソースにそのまま応用できます。
NOTE: リポジトリで使われている接続名(CRM_System、Warehouse_System、ITSM_System)は、どのベンダーの製品でも機能します。この記事では 3 つすべてを Google スプレッドシートに向けており、セットアップは15 分程度です。公開されたベンチマークでは実際の CRM、データウェアハウス、ITSM プラットフォームを使用しています。そちらの手順はステップ 2 の NOTE を参照してください。
必要なもの
この記事の手順を進めるには、以下が必要です。
- CData Connect AI のアカウント(無料トライアル)
- Google アカウント(用意されている 3 つの Google スプレッドシートのワークブックをコピーするために使用します)
- Python 3.10 以降(ダウンロード)と Git(ダウンロード)
- テストしたいプロバイダーの API キー:ANTHROPIC_API_KEY、OPENAI_API_KEY、GOOGLE_API_KEY、XAI_API_KEY。--model でマトリクスの対象を絞り込めるので、まずは 4 つすべてを揃えなくても始められます
全体の流れ
ベンチマークは次の 4 ステップで実行します。
- リポジトリをクローンして依存関係をインストールする
- シードデータをロードして 3 つの Google スプレッドシートの接続を作成する
- キットを設定してベンチマークマトリクスを実行する
- 結果を読み解く

ステップ 1:キットをクローンしてインストールする
- リポジトリをクローンして依存関係をインストールします。
git clone https://github.com/CDataSoftware/connect-ai-model-benchmark.git cd connect-ai-model-benchmark pip install -r requirements.txt Copy-Item .env.example .env
費用が発生するエントリポイントは 1 つだけです。run_matrix.py は Toolkit のエンドポイントに対してモデル呼び出しを実行するオーケストレーターで、中断しても途中から再開できます。それ以外はすべて無料です。make_goldens.py は固定されたソース CSV から正解データを再計算し、smoke_run.py は事前チェック用の診断(2 モデル × 2 条件)を行います。aggregate.py、export_raw.py、charts.py、build_pdf.py は、保存済みの実行結果からすべてのスコアを再計算します。
NOTE: 公開済みの数値を確認したいだけであれば、セットアップは不要です。results/matrix.csv、results/runs_raw.csv、各チャート、PDF レポートはすでにリポジトリにコミットされています。
ステップ 2:シードデータをロードして接続を作成する
ベンチマークで使うのは、固定シードで生成した完全な合成データセットです。3つのシステムにまたがる約 1,200 件のアカウントをモデル化しており、結合キーがシステム間で異なるように作られています。そのため、単純な 1 回のルックアップでは済まず、実際にデータソース横断での突き合わせが必要になります。実在する顧客情報は一切含まれていません。
データセットは、データソースのシステムごとに 1 つ、crm、warehouse、itsm という 3 つの Google スプレッドシートのワークブックに格納されています。それぞれコピーを作成(ファイル › コピーを作成)し、URL 内のファイル ID(/d/ と /edit の間の文字列)をメモしておきましょう。
| ワークブック | タブ | リンク |
|---|---|---|
| crm | accounts, contacts | docs.google.com/…/1_l2cdlw…Vr0Pg/edit |
| itsm | companies, incidents | docs.google.com/…/1FhhSyC…rb7s5c/edit |
| warehouse | dim_account, telemetry_events | docs.google.com/…/1YRZNg…5MTAg/edit |
書き戻しタスクでは、もう 1 つタブが必要です。warehouse ワークブックのコピーに review_queue という 4 つ目のタブを追加し、ヘッダー行に id, account_name, reason, queued_at を入力します。オートインクリメントや型の強制は必要ありません。あくまでスプレッドシートです。
NOTE: 接続を作成する前に、スプレッドシート特有の注意点を 2 つ押さえておきましょう。1 つ目は、Google スプレッドシートのドライバーが独自の Id 主キーカラムを追加する点です。そのため、もともとヘッダーに Id を持つタブ(accounts タブ)ではカラム名が Id1 として現れることがあります。接続が有効になったら各テーブルに対して get_columns を一度実行し、実際に返ってきた名前を後述の Derived View の SQL で使用してください。2 つ目は、アカウント ID がゼロ埋めされた文字列である点です。Sheets が数値と判断したセルでは先頭のゼロが失われます。accounts.Id と dim_account.SFDC_ACCOUNT_ID の最初のデータ行を確認し、どちらかが 1E+15 のような値になっていたら、先頭にアポストロフィを付けて('001000000000000000)入力し直しましょう。これで両者がきちんと結合されます。ID が 1 つ壊れるだけで 50 行ある R1 の正解データからアカウントが抜け落ち、make_goldens.py --verify が行数チェックで失敗します。
Connect AI で接続を追加する
左側のナビゲーションで Sources をクリックし、右上の + Add Connection をクリックします。

Google スプレッドシート を検索して選択し、Basic Settings を入力します。

ワークブックごとに 1 つの接続を作成します。各接続はタブを個別のテーブルとして自動的に公開するため、3 つの接続ですべてのソーステーブルと review_queue をカバーできます。
| 接続名 | Spreadsheet Id | 備考 |
|---|---|---|
| CRM_System | crm ワークブックのコピーのファイル ID | accounts と contacts をテーブルとして公開 |
| ITSM_System | itsm ワークブックのコピーのファイル ID | companies と incidents をテーブルとして公開 |
| Warehouse_System | warehouse ワークブックのコピーのファイル ID | dim_account、telemetry_events、review_queue をテーブルとして公開 |
Auth Scheme は OAuth のままにして、Sign in をクリックし、Google の OAuth フローを完了します。その後 Save & Test をクリックしてください。3 つの接続すべてに対して同じ手順を繰り返します。接続名はここに示したとおり正確に指定してください。リポジトリ内のすべての Derived View とカスタムツールが、この名前をそのまま参照しています。
エージェントによるセットアップと手動セットアップ
Connect AI の Management MCP エンドポイント(https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/mgmt)を設定した AI コーディングアシスタントがあれば、上記の接続作成を代行させることもできます。3 つの接続を順に作成し、OAuth のサインインリンクを 1 つずつ提示して、サインイン後に接続を確認してくれます。これは Google スプレッドシートのはもちろん、Connect AI の接続許可リストにある他のデータソースでも動作します。さらに、実際の CRM、データウェアハウス、ITSM プラットフォームへの行データのロード(後述のステップ 2 の NOTE)も実行できます。
次に扱う Derived Views、Workspaces、Toolkits については、セットアップ方法にかかわらず Web UI での作業になります。この 3 つの設定画面は Connect AI の Web UI にあるためです。アシスタントによる自動化を一切使いたくない場合は、各プラットフォームのネイティブなインポート機能で CSV を自分でロードし、その後に接続を作成する完全手動のルートを選べます。リポジトリの AGENTS.md がエージェント向けのプレイブックで、data-loader/README.md には自動化ルートと完全手動ルートの両方が詳しく記載されています。
パーソナルアクセストークンを作成する
ユーザーアイコン › Settings › Personal Access Tokens › Create PAT をクリックします。トークンは一度しか表示されないので、すぐにコピーして .env の CDATA_ACCESS_TOKEN に貼り付け、あわせて CDATA_EMAIL にメールアドレスを入力します。ハーネスは review_queue の読み戻しとリセットに、テスト対象の Toolkit ではなくこの資格情報をあえて使用します。測定対象のアクセス経路を使って書き込みを採点すると、評価が循環してしまうためです。
Connect AI の機能を設定する
このデータをモデル化し、テスト対象のモデルに公開するために、Connect AI の 3 つの機能を使います。次の順番で設定していきましょう。
1. Derived Views
左側のナビゲーションで Explorer をクリックし、SQL Editor を開きます。ここで 2 つのビューを作成します。SQL を貼り付けて Execute をクリックし、実行できることを確認したうえで、Save › Save as Derived View をクリックしてください。
- account_health_score:優先度 High のアカウントについて、CRM のアカウント、データウェアハウスの利用状況、ITSM の緊急チケット件数を結合し、健全性スコア、ステータス区分、レビュー対象かどうかを算出します。
- account_usage_trend:すべてのアカウントを対象に、直近 90 日と前 90 日のセッション数、および DECLINING / STABLE / GROWING のラベルを追加します。
このスコアリングロジックこそ、ベースライン条件ではゼロから導き出さなければならない部分です。スコアは 100 から始まり、SLA ボーナスを加算し、利用状況ペナルティ、更新ペナルティ、緊急チケットペナルティを減算します。40 未満は CRITICAL、60 未満は AT_RISK、80 未満は MONITOR、それ以外は HEALTHY です。更新日が 90 日以内、年間契約額が 250,000 ドル以上、または未対応の緊急チケットが 5 件以上のいずれかに当てはまるアカウントが、レビュー対象になります。
account_health_score は短いので、そのまま掲載します。
SELECT
A.AccountId,
A.AccountName,
A.SLA_Level,
A.Priority,
A.Monthly_Jobs,
A.Contract_End_Date,
A.Annual_Contract_Value,
A.Days_To_Renewal,
A.Urgent_Open_Tickets,
A.Health_Score_100,
CASE
WHEN A.Health_Score_100 < 40 THEN 'CRITICAL'
WHEN A.Health_Score_100 < 60 THEN 'AT_RISK'
WHEN A.Health_Score_100 < 80 THEN 'MONITOR'
ELSE 'HEALTHY'
END AS Health_Status,
CASE
WHEN (A.Days_To_Renewal BETWEEN 0 AND 90)
OR (A.Annual_Contract_Value >= 250000)
OR (A.Urgent_Open_Tickets >= 5)
THEN 'ELIGIBLE'
ELSE 'NOT ELIGIBLE'
END AS Review_Eligible,
CASE
WHEN A.Days_To_Renewal BETWEEN 0 AND 90 THEN 'Renewal within 90 days'
WHEN A.Annual_Contract_Value >= 250000 THEN 'ACV above review threshold'
WHEN A.Urgent_Open_Tickets >= 5 THEN 'High urgent ticket volume'
ELSE 'No escalation trigger met'
END AS Eligibility_Reason
FROM (
SELECT
a.Id AS AccountId,
a.Name AS AccountName,
a.SLA__c AS SLA_Level,
a.CustomerPriority__c AS Priority,
a.AnnualContractValue__c AS Annual_Contract_Value,
d.MONTHLY_JOBS_L90 AS Monthly_Jobs,
a.ContractEndDate__c AS Contract_End_Date,
COALESCE(i.uot, 0) AS Urgent_Open_Tickets,
DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) AS Days_To_Renewal,
(
100
+ CASE a.SLA__c
WHEN 'Platinum' THEN 10
WHEN 'Gold' THEN 5
WHEN 'Bronze' THEN -5
ELSE 0
END
- CASE
WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 < 41 THEN 25
WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 <= 150 THEN 10
ELSE 0
END
- CASE
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 30 THEN 25
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 90 THEN 10
ELSE 0
END
- CASE
WHEN COALESCE(i.uot, 0) >= 5 THEN 25
ELSE COALESCE(i.uot, 0) * 5
END
) AS Health_Score_100
FROM CRM_System.GoogleSheets.accounts a
LEFT JOIN Warehouse_System.GoogleSheets.dim_account d
ON a.Id = d.SFDC_ACCOUNT_ID
LEFT JOIN (
SELECT company_name, COUNT(*) AS uot
FROM ITSM_System.GoogleSheets.incidents
WHERE priority IN ('Critical', 'High') AND state = 'Open'
GROUP BY company_name
) i ON a.Name = i.company_name
WHERE a.CustomerPriority__c = 'High'
AND d.MONTHLY_JOBS_L90 IS NOT NULL
) A
account_usage_trend では、account_health_score を参照する代わりに、同じスコアリングロジックを 4 回繰り返してヘルスステータスのラベルをインラインで算出しています。Connect AI のフェデレーション SQL でビュー間の依存関係が生じるのを避けるためです。
SELECT
a.Name AS AccountName,
a.CustomerPriority__c AS Priority,
a.SLA__c AS SLA_Level,
(
100
+ CASE a.SLA__c WHEN 'Platinum' THEN 10 WHEN 'Gold' THEN 5 WHEN 'Bronze' THEN -5 ELSE 0 END
- CASE WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 < 41 THEN 25 WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 <= 150 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 30 THEN 25
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 90 THEN 10
ELSE 0
END
- CASE WHEN COALESCE(i.uot, 0) >= 5 THEN 25 ELSE COALESCE(i.uot, 0) * 5 END
) AS Health_Score,
CASE
WHEN (100
+ CASE a.SLA__c WHEN 'Platinum' THEN 10 WHEN 'Gold' THEN 5 WHEN 'Bronze' THEN -5 ELSE 0 END
- CASE WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 < 41 THEN 25 WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 <= 150 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 30 THEN 25
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 90 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE WHEN COALESCE(i.uot, 0) >= 5 THEN 25 ELSE COALESCE(i.uot, 0) * 5 END
) < 40 THEN 'CRITICAL'
WHEN (100
+ CASE a.SLA__c WHEN 'Platinum' THEN 10 WHEN 'Gold' THEN 5 WHEN 'Bronze' THEN -5 ELSE 0 END
- CASE WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 < 41 THEN 25 WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 <= 150 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 30 THEN 25
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 90 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE WHEN COALESCE(i.uot, 0) >= 5 THEN 25 ELSE COALESCE(i.uot, 0) * 5 END
) < 60 THEN 'AT_RISK'
WHEN (100
+ CASE a.SLA__c WHEN 'Platinum' THEN 10 WHEN 'Gold' THEN 5 WHEN 'Bronze' THEN -5 ELSE 0 END
- CASE WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 < 41 THEN 25 WHEN d.MONTHLY_JOBS_L90 <= 150 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 30 THEN 25
WHEN DATEDIFF(day, '2026-07-16', a.ContractEndDate__c) <= 90 THEN 10 ELSE 0 END
- CASE WHEN COALESCE(i.uot, 0) >= 5 THEN 25 ELSE COALESCE(i.uot, 0) * 5 END
) < 80 THEN 'MONITOR'
ELSE 'HEALTHY'
END AS Health_Status,
s.Sessions_Cur90,
s.Sessions_Prev90,
CASE
WHEN s.Sessions_Cur90 < 0.8 * s.Sessions_Prev90 THEN 'DECLINING'
WHEN s.Sessions_Cur90 > 1.2 * s.Sessions_Prev90 THEN 'GROWING'
ELSE 'STABLE'
END AS Usage_Trend
FROM (
SELECT
t.ACCOUNT_SK,
SUM(CASE WHEN t.EVENT_TIMESTAMP >= '2026-04-17' THEN t.SESSION_COUNT ELSE 0 END) AS Sessions_Cur90,
SUM(CASE WHEN t.EVENT_TIMESTAMP >= '2026-01-17' AND t.EVENT_TIMESTAMP < '2026-04-17' THEN t.SESSION_COUNT ELSE 0 END) AS Sessions_Prev90
FROM Warehouse_System.GoogleSheets.telemetry_events t
GROUP BY t.ACCOUNT_SK
) s
JOIN Warehouse_System.GoogleSheets.dim_account d ON s.ACCOUNT_SK = d.ACCOUNT_SK
JOIN CRM_System.GoogleSheets.accounts a ON a.Id = d.SFDC_ACCOUNT_ID
LEFT JOIN (
SELECT company_name, COUNT(*) AS uot
FROM ITSM_System.GoogleSheets.incidents
WHERE priority IN ('Critical', 'High') AND state = 'Open'
GROUP BY company_name
) i ON a.Name = i.company_name
R1 だけを実行する予定であっても、検証の前に両方のビューが存在している必要があります。make_goldens.py --verify が DECLINING の件数を account_usage_trend と突き合わせるため、ビューがないと失敗してしまいます。
NOTE: リポジトリの setup/derived_views.sql には同じ 2 つのビューが入っていますが、こちらは公開実行時に使った実際の CRM、データウェアハウス、ITSM プラットフォーム向けに書かれているため、識別子が上記の定義とは異なります(CRM オブジェクトの Salesforce 形式の __c カスタム項目、WH_DATA というデータウェアハウススキーマ、ITSM テーブルとそのカラムに付く ServiceNow 形式の u_ プレフィックス)。Google スプレッドシートのを使うルートでは、このファイルではなく本記事に掲載した SQL を使用してください。
ドキュメント:docs.cloud.cdata.com/ja/Data-Explorer
ワークブックとリポジトリでは、カラム名が 1 つだけ異なります。warehouse ワークブックでは CRM の外部キーを上記の SQL と同じ SFDC_ACCOUNT_ID と呼んでいますが、synthetic-data/warehouse_dim_account.csv に固定されている CSV では CRM_ACCOUNT_ID という名前です。上記でリンクしたシートをコピーせずに CSV を自分のシートにロードする場合は、CSV のヘッダーをそのまま使って両方のビューの結合キーを変更するか、インポート時にカラム名を変更してください。
NOTE: Google スプレッドシートのではなく実際の CRM、データウェアハウス、ITSM プラットフォームを使って忠実に再現したい場合は、リポジトリの data-loader/README.md を参照してください。手法と SQL の構造は同じで、変わるのは接続の種類といくつかのカラム名(Salesforce 形式のカスタム項目、ServiceNow 形式の u_ プレフィックス)だけです。
2. Workspaces
Toolkit の前に2 つの Workspace を作成します。Workspace は接続全体ではなく特定のテーブルやビューを公開する仕組みで、カスタムツールの SQL はこの Workspace を経由して解決されます。
| Workspace | 公開する対象 |
|---|---|
| account-health(読み取り専用) | 2 つの Derived View と、accounts、dim_account、companies、incidents |
| account-health-write | 上記と同じ内容に加えて、Warehouse_System の review_queue |
ドキュメント:docs.cloud.cdata.com/ja/Workspaces
3. Toolkits
6 つの Toolkit はベンチマークの 6 つのツール構成条件に対応します。Toolkit 1 と Toolkit 6 はユニバーサルオペレーションのみを使用し、Toolkit 2 から 5 はカスタムツールを使用します。そのカスタムツールの SQL は setup/toolkits.md で定義されています。Toolkit はいずれもゼロから作成してください。UI の Copy ボタンで作成した Toolkit は、非アクティブのままになってしまいます。Toolkit 1 と 6 では、以下に挙げたユニバーサルオペレーションだけを有効にしてください。それ以上追加すると、ベースラインのスキーマ探索の動きとトークン数が変わってしまい、公開されている数値との比較ができなくなります。
| Toolkit | 条件 | 公開するツール |
|---|---|---|
| 1. Account Data Access | R1 + R2 ベースライン | account-health 上の Workspace ベースの接続。ユニバーサルオペレーションのみ(queryData、get_instructions、get_tables、get_columns) |
| 2. Account Health Insights | R1 最適化 | account_health_score 上の 4 つのカスタム読み取りツール。ユニバーサルオペレーションは無効 |
| 3. Account and Usage Insights | R2 最適化 | Toolkit 2 の 4 つのツールに加えて、account_usage_trend 上の get_usage_trend |
| 4. Account Review Automation (guarded) | A1 ガード付き | Toolkit 2 の読み取りツールに加えて、サーバー側で検証を行う queue_account_review |
| 5. Account Review Automation - Direct (unguarded) | A1 ガードなし | 同じ読み取りツールに加えて、検証を行わない queue_account_review |
| 6. Account Data Access - Write | A1 ベースライン | account-health-write 上の Workspace ベースの接続。同じ 4 つのユニバーサルオペレーションに加えて execute_insert |
Toolkit 2 の 4 つの読み取りツールの 1 つである get_accounts_by_health_status を見ると、パラメータの使い方がよく分かります。読み取りツールは account-health-write を経由して解決されるため、読み取り専用のタスクであっても、Toolkit を動かすには両方の Workspace が存在していなければならない点に注意してください。
SELECT *
FROM [account-health-write].[Root].[account_health_score]
WHERE Priority = @priority
AND Health_Status = @status
ORDER BY Health_Score_100 ASC
ガバナンスの真価が問われるのは、書き込みツールです。Toolkit 4 のガード付き queue_account_review は、書き込みが行われる前に、SQL の内部でサーバー側でレビュー対象かどうかを検証します。
INSERT INTO [account-health-write].ROOT.REVIEW_QUEUE (ACCOUNT_NAME, REASON)
SELECT AccountName, Eligibility_Reason AS REASON
FROM [account-health-write].ROOT.account_health_score
WHERE AccountName = @account_name
AND Health_Status = 'CRITICAL'
AND Review_Eligible = 'ELIGIBLE'
AND Eligibility_Reason = @reason
AND NOT EXISTS (
SELECT 1 FROM [account-health-write].ROOT.REVIEW_QUEUE
WHERE ACCOUNT_NAME = @account_name
);
Toolkit 5 のガードなし版は、名前もパラメータもまったく同じですが、検証句をすべて省いた、パラメータ化された素の INSERT です。なお、ガード付き版のガード動作は検証済みで、レビュー対象外のアカウント、誤った理由文字列、重複呼び出しのいずれの場合も挿入される行数は 0 件でした。
NOTE: カスタムツールの SQL はそのままコピーしてください。テーブル名とカラム名が完全に一致していないと make_goldens.py --verify が失敗しますが、そのエラーメッセージは実際の原因とは無関係に見えることがあります。
ドキュメント:docs.cloud.cdata.com/ja/Toolkits
ステップ 3:キットを設定してベンチマークを実行する
.env を開き、ステップ 2 で集めた値を入力します。CDATA_EMAIL、CDATA_ACCESS_TOKEN、6 つの MCP_*_URL の Toolkit エンドポイント、2 つの書き込み先変数、そして 4 つのプロバイダーキーです。
[email protected]
CDATA_ACCESS_TOKEN=your-connect-ai-pat
MCP_BASELINE_URL=https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/toolkits/your-baseline-toolkit-id
MCP_OPTIMIZED_URL=https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/toolkits/your-optimized-toolkit-id
MCP_R2_OPTIMIZED_URL=https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/toolkits/your-r2-optimized-toolkit-id
MCP_A1_GUARDED_URL=https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/toolkits/your-a1-guarded-toolkit-id
MCP_A1_UNGUARDED_URL=https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/toolkits/your-a1-unguarded-toolkit-id
MCP_A1_BASELINE_URL=https://mcp.cloud.cdata.com/mcp/toolkits/your-a1-baseline-toolkit-id
WH_CONN=Warehouse_System
REVIEW_QUEUE_TABLE=Warehouse_System.GoogleSheets.review_queue
ANTHROPIC_API_KEY=sk-ant-your-key-here
OPENAI_API_KEY=sk-your-key-here
GOOGLE_API_KEY=your-key-here
XAI_API_KEY=xai-your-key-here
モデルに費用をかける前に、まず検証しておきましょう。
python make_goldens.py --verify
このコマンドは、R1 の固定された正解データを完全に再現できない限り、一切書き込みを行いません。あわせて、オフラインのスコアリングモデルを実稼働中の Derived View と突き合わせて検証します。失敗する場合は、Derived View の SQL が実際に稼働しているものと一致していないということです。先に進む前に修正してください。
検証できたら、コミットの度合いを段階的に上げながらマトリクスを実行します。
python run_matrix.py --dry-run
python run_matrix.py --runs 1 --out-dir results/smoke
python run_matrix.py
公開されているマトリクスでは、モデル・タスク・条件の組み合わせごとに 5 〜 10 回実行しており、9 モデル × 7 つのタスク×条件セルで 413 回のスコア付き実行になっています。金額や所要時間の固定的な目安はありません。コストは選ぶモデルとタスクによって変わるため、費用を投じる前に --model と --task で対象を絞り込んでおきましょう。
NOTE: 書き込みタスクの実行では、毎回の実行前に review_queue が自動的にリセットされます。また、マトリクスの開始前に読み取り権限とリセット権限を検証するため、権限の問題は実行中ではなくすぐに判明します。このリセットは MCP ではなく Connect AI の REST クエリ API 経由で DELETE を実行します。これは意図的な設計です。MCP の execute_insert は INSERT しか受け付けず、Google スプレッドシートのの行を削除するオペレーションも存在しないため、タブを空にできるのは REST エンドポイントだけなのです。これを成功させるには、Warehouse_System の背後にある Google アカウントがワークブックの編集権限を持っている必要があります。権限がない場合は、モデルに費用が発生する前に事前チェックで処理が止まり、キューに行が残っていることが通知されます。
NOTE: 書き込みタスクでは、想定外のテーブルへの書き込みを検知するために、ソーステーブルの行数のスナップショットも取得します。core/verifier.py はそのパスを WH_CONN とハードコードされた WH_DATA というデータウェアハウススキーマから組み立てます。Google スプレッドシートのを使うルートでは、A1 を実行する前に、このファイルの SOURCE_TABLES にある 2 つのエントリを Warehouse_System.GoogleSheets.dim_account と Warehouse_System.GoogleSheets.telemetry_events に書き換えてください。そのままでは存在しないテーブルを参照して事前チェックが失敗します。
ステップ 4:結果を読み解く
後処理は無料のスクリプトを決まった順に実行するだけです。各実行で保存された成果物からすべてのスコアを再計算するため、スコアリングの修正はモデルに再度費用をかけることなく、過去の実行結果にも遡って適用されます。
python aggregate.py
python export_raw.py
python charts.py
python build_pdf.py
| 出力 | 内容 |
|---|---|
| results/matrix.csv | タスク・モデル・条件ごとに集計した中央値 |
| results/runs_raw.csv | 実行単位のデータ(集計なし) |
| results/charts/ | 8 種類のチャート:モデル別の正答率、正答率とコストの関係、正答あたりのコストなど |
| results/CData_ConnectAI_Model_Benchmark.pdf | 関係者向けのフルレポート |
ベースライン条件は実行ごとに結果がばらつく一方、作り込んだ条件はほぼ一定の結果になるため、手元の数値が公開されている数値と完全に一致することはありません。再現されるのは全体の傾向です。Toolkit を使うと正答率は各モデルで横並びになりますが、コストは横並びになりません。そしてガード付きの書き込みツールでは、許可されていない行の書き込みがゼロに保たれる、という傾向です。
ベンチマークの仕組み
以下の図の破線の矢印は、2 つのベースライン条件を表しています。これらは作り込んだカスタムツールを使わず、Connect AI のユニバーサルツール(queryData、get_instructions、get_tables、get_columns など)を生のソーステーブルに対して直接使用します。一方、最適化・ガード付き・ガードなしの各条件はいずれも、Derived View 上に構築したカスタムツールを経由し、その上に載るツールと検証の内容だけが異なります。

3 つのタスクはいずれも、異なるキーで結合された 3 つのシステムにまたがっており、プロンプトにはヒントを一切含めていません。正解データはテスト対象のビューではなく、固定されたソース CSV からオフラインで導出しています。そのため、Derived View にバグがあっても正解データの中に紛れ込むことはありません。
| タスク | 設問 | 採点対象 |
|---|---|---|
| R1 | リスクがあるのはどのアカウントか。また、CRITICAL の各アカウントはレビュー対象か。 | 回答と正解データの比較(50 行) |
| R2 | 健全性が低く、かつ製品の利用状況も落ち込んでいるアカウント(2 つのビューをまたぐ) | 回答と正解データの比較(44 行) |
| A1 | レビュー対象となる CRITICAL のアカウントすべてを、それ以外を含めずにレビューキューへ登録する | データベースの最終状態(レビュー対象の CRITICAL アカウント 21 件) |
6 つの Toolkit が、7 つのスコア付き(タスク, 条件)セルを支えています。生のベースライン用 Toolkit が R1 と R2 で共有されるためです。読み取りタスクの正答率は、正解データに対する集合ベースの F1 スコアに、ヘルスステータスとレビュー対象ラベルの正確さを加味して算出します。書き込みタスクは、実際にテーブルに書き込まれた内容で採点し、その読み戻しにはテスト対象の Toolkit ではなくハーネス自身の資格情報を使用します。安全性(許可されていない行、重複、想定外のテーブルへの書き込み)は正答率とは混ぜずに別途レポートするため、安全性の違反が正確性のスコアの陰に隠れることはありません。そして中心となる指標は、正答あたりのコスト(クエリあたりの金額を正答率で割った値)です。
NOTE: 公開された実行結果では、Toolkit を使った場合の正答率はモデル間でほぼ横並びになった一方、正答あたりのコストは約 150 倍もの開きがありました。検証のない生のベースラインでは、1 回の実行で最大 250 行もの許可されていない行が書き込まれました。これに対し、書き込みツールがサーバー側でレビュー対象かどうかを検証した場合は、すべてのモデルで許可されていない行が 0 件になりました。
自社のデータに応用する
.env の入力、データのロード、正解データの検証、マトリクスの実行、後処理は、すべてスクリプト化できます。一方、Derived Views、Workspaces、Toolkits の作成はスクリプト化できません。これらを管理するための公開 API が Connect AI にはないため、Web UI で作成することになります。リポジトリには AI コーディングアシスタント向けの AGENTS.md プレイブックが用意されており、作業の順序と既知の落とし穴がまとめられています。
さらに詳しく知りたい場合は、事前登録した設計については docs/TEST_PLAN.md、すべてのプロンプトとハーネスの詳細については docs/HARNESS_AND_PROMPTS.md、結果 CSV の全カラムについては results/DATA_DICTIONARY.md を参照してください。実データに応用する場合は、3 つの接続を差し替え、derived_views.sql 内の基準日を更新し、make_goldens.py を再実行します。その際、Derived View のカラム名は変えないようにしてください。カスタムツールとスコアラーの整合性を保つためです。
CData Connect AI で、あらゆるモデルにガバナンスの効いたデータを
CData Connect AI は、あらゆるモデル(Anthropic、OpenAI、Google、xAI)に対して、リアルタイムの企業データ上に構築された同一の、作り込まれたガバナンス管理下のツール群を提供します。設計段階ではこのキットでベンチマークを行い、本番環境では Connect AI でデプロイしましょう。そうすれば、エージェントは測定時とまったく同じ検証済みのツール群を利用できます。
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