製造・品質に関わる大量データをデータ分析基盤へ安定同期 生産への影響を抑えながら、AIを活用した分析環境を実現

TOPPAN株式会社のエレクトロニクス事業では、製造・品質データを分析や改善活動に活用するため、データパイプラインツール「CData Sync」を導入しました。製造実行システム(MES)から、製造・品質に関わる大量のデータを、分析用データベースであるMariaDBへ定期的に連携。MESへの影響を抑えながら、分析担当者がより広い範囲のデータを活用できるデータ分析基盤を整備しました。

Oracle・MySQLのデータをCData SyncでノーコードでMaria DBに複製

TOPPAN株式会社は、「印刷テクノロジー」を核に、情報ソリューション、生活・産業、エレクトロニクスなど幅広い分野で事業を展開する企業です。さまざまな製品・サービスの提供を通じて、社会や企業の課題解決に取り組んでいます。

TOPPAN株式会社のエレクトロニクス事業では、製造現場の品質向上や改善活動に、製造・品質データを活用していました。

MESには一般ユーザー向けのデータ抽出ツールがあり、必要なデータを取得することは可能でした。

一方で、抽出できる期間や範囲には制約があり、長期間のデータや複数の製造条件を横断した分析が難しい状況でした。

また、TableauなどのBIツールからMESへ直接接続して大量のデータを処理すると、MESへの負荷が懸念されます。そのため、データを自由に参照したり、分析用ダッシュボードを柔軟に構築したりすることにも制約がありました。

こうした課題を解決するため、同社ではMESとは分離したデータ分析基盤を構築しました。

分析用データベースにはMariaDBを採用し、MESや品質管理システムなど、複数のデータソースから必要なデータを連携。分析担当者がMESへの影響を抑えながら、分析用データベース上で必要な情報を利用できる構成としました。

データ連携には、データパイプラインツール「CData Sync」を活用しています。

CData Syncを利用することで、MESへの影響を抑えながら、多数のテーブルに含まれるデータを定期的にMariaDBへ同期できるようになりました。

これにより、従来のデータ抽出ツールでは扱いにくかった、より長期間・広範囲のデータを分析用データベースに蓄積できるようになりました。さらに、Tableauの接続先を分析用データベースへ切り替えることで、ダッシュボードを柔軟に構築できる環境を整備。AIエージェントによる品質データの分析やレポート作成にも取り組んでいます。


Challenges:

  • 一般ユーザーでもデータを抽出できる一方、取得できる期間や範囲に制約があり、長期間・大量のデータを用いた分析が難しかった

  • TableauなどのBIツールからMESへ直接接続して重い処理を実行すると、MESの処理や生産活動への影響が懸念された

  • MESへの影響を抑えながら、多数のテーブルに含まれるデータをMariaDBによる分析用データベースへ安定的に連携する仕組みが必要だった

Solutions:

  • MariaDBによるデータ分析基盤を構築し、従来のデータ抽出ツールでは扱いにくかった、より長期間・広範囲のデータを蓄積できる環境を整備

  • CData Syncを活用し、MESや品質管理システムなど、複数のデータソースから分析用データベースへデータを定期的に連携。MESへの影響を抑えながら、安定したデータ同期を実現

  • 分析用データベースをTableauやAIエージェントから利用できる構成とし、MESへの影響を抑えながら、柔軟なダッシュボード構築、品質データの分析、レポート作成を可能にした


本件をリードされた、エレクトロニクスBU 製造統括本部製造戦略本部の田岡氏・辻村氏にお話をお伺いしました。

Q:今回のプロジェクトに取り組まれた背景を教えてください。

田岡氏:私たちが所属するエレクトロニクスBU 製造統括本部製造戦略本部は、エレクトロニクス事業における製造機能を統括する部署です。製造の付加価値向上による競争力強化をミッションに、工場のシステム・装置の導入支援をはじめ、製造ラインの効率化・自動化など、ハード・ソフトの両面からバリューチェーン全体にわたる幅広い取り組みを推進しています。開発した仕組みをエレクトロニクス事業の各工場に展開していく戦略的な役割も担っています。

辻村氏:今回のプロジェクトのきっかけは、実際に工場で働くメンバーから「もっとデータを活用できる環境を作りたい」という声があがったことです。製造現場では、MESに何をいつ生産したかのログや装置のログなど、生産に関わるデータが蓄積されていました。

MESには一般ユーザー向けのデータ抽出ツールも用意されており、データを取得すること自体は可能でした。しかし、システムへの負荷を抑えるため、取得できるデータの期間や範囲には制約があり、長期間のデータや複数の製造条件を横断して分析することが難しい状況でした。

また、分析担当者がTableauなどからMESへ直接接続して大量のデータを処理すると、MESへの負荷や生産活動への影響が懸念されました。そのため、取得したデータをExcelファイルで手元集計するケースも多く、大量データを用いた迅速な分析や機械学習の活用は困難な状態でした。

そこで、私たち製造戦略本部とシステム部門の5~6名が連携し、MESと切り離した分析用データベースを構築することで、データ活用の自由度を高め、品質改善のPDCAサイクルを加速させることを目的にプロジェクトを立ち上げました。

Q:CData 製品をお選びいただけたポイントをお聞かせください。 

辻村氏:当初は自社開発も検討しましたが、安定した動作の確保と早期導入の両立が難しいと判断し、ツールの導入を決めました。複数のデータパイプラインツールを比較検討した結果、CData Syncを選んだ理由は大きく3点あります。

1点目は、GUIベースで直感的に操作できることです。システムの深い専門知識がなくても使いこなせる点が、運用の安定性と導入のしやすさにつながると判断しました。

2点目は、カスタマイズの柔軟性です。同期対象のテーブルやカラムを細かく選択できること、また同期間隔を設定できることは、MESへの影響を抑えながら必要なデータを取り込む要件に適していました。

3点目は、外部ネットワークと接続しない閉域環境においても、オフラインでのインストールが可能なオンプレミス型製品として利用できる点です。外部への接続には社内申請や手続きが必要で時間もかかりますが、CData Syncはオンプレミスで完結できるため、スムーズに導入検討を進めることができました。

なお、他製品と比較してコストパフォーマンスに優れていた点も選定の後押しとなりました。

Q:製品の使い勝手や導入効果はいかがでしたでしょうか?

辻村氏:検討開始から約半年で本番稼働まで到達できました。MESへの影響を抑えながら、分析用データベースへ安定的にデータを同期できる環境を確立できています。

導入においては、長期にわたり安定稼働してきたOracle Database環境に合わせた設定面での課題が発生しましたが、CDataのテクニカルサポートに丁寧に対応していただき、課題を一つひとつ解決しながら進めることができました。

分析用データベースの稼働後、最も変わったのはデータへのアクセスのしやすさです。これまで取得できる期間や範囲に制約があったMESのデータを、分析用データベースを通じて活用できるようになったことで、分析担当者が必要なデータにアクセスしやすくなりました。

取得できるデータ量も大きく広がったことで、長期間・大量のデータを用いた分析や、機械学習を活用した解析が行えるようになり、データ活用の自由度が高まっています。

田岡氏:分析用データベースはTableauを介した活用もされています。Tableauは分析用データベースの構築以前から導入済みでしたが、以前はMESに直接接続していたため、MESへの負荷が懸念されていました。

分析用データベースに接続先を切り替えたことで、MESへの影響を考慮しながらTableauを利用できるようになりました。ダッシュボードを構築しやすくなったことに加え、画面表示が速くなり、使いやすくなったという声も届いています。

さらに、この分析用データベースを活用し、AIエージェントによる自動分析・レポート作成も実現しました。製造現場で発生した品質データを自動分析してレポートを生成したり、装置から取得したデータを監視して、設定した条件を超えた場合に検知・通知したりする仕組みを構築しています。

分析用データベースを構築したことで、ものづくりにおける品質、短納期、最適化といった課題に対して、データの利活用を通じて貢献できるようになってきていると思っています。

Q:よろしければ今後の展望をお聞かせいただけますか?

辻村氏:現在はMESと品質管理システムとの同期が中心ですが、今後はさらに多様なデータソースとの連携拡大を考えていきたいと思っています。

他のシステムのデータベースやファイルなどとも連携し、分析用データベースにデータを集約することで、例えば装置から取得したデータと品質データを組み合わせた要因分析や、機械学習を活用した分析など、大量データを活かした複合的な分析ができる環境を整えていきたいと考えています。

田岡氏:今回構築したデータ分析基盤と、そこで得られた知見を、今後立ち上げを計画している工場のデータ活用モデルにも生かしていく方針です。

「データ駆動型のものづくり」というキーワードのもと、データの力で、品質、短納期、最適化といったものづくりの課題を一つひとつ解決していきたいと思っています。

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