こんにちは。CData Software Japan の杉本です。
先日リリースされたCData Arc 2026.Q4 アップデートでは、「組み込みMCPサーバー」機能が強化されました。
CData Arc v26.3では、Arc本体に組み込まれたMCPサーバーを提供しました。Claude Desktop、GitHub Copilot CLI、OpenAI CodexといったMCP対応AIクライアントから稼働中のArcインスタンスに接続し、「このメッセージがなぜ失敗したのか」「期限切れ間近の証明書はあるか」といった問い合わせを自然言語で行えるようにするものです。
ただしv26.3のMCPサーバーは、意図的に読み取り専用(14ツール)に絞られていました。状況を調べることはできても、調べた結果を踏まえて「じゃあ再送して」と頼むことはできません。また、アプリケーションログやリクエストログと、対象のメッセージとを紐付けて診断することもできませんでした。
v26.4の強化ポイントは次の2つです。
運用系ツールの追加 — 設定(Configuration)は変更せず、実行時の状態だけを操作するツールを追加
診断基盤の強化 — correlationIdにより、アプリケーションログ/リクエストログとメッセージを紐付けて診断できるように
以下、それぞれを見ていきます。
1. 運用系ツールの追加:調べたあと、そのまま手を動かせる
v26.4では、以下の3つの運用系ツールが追加されました。いずれも「設定は変えない、実行時の状態だけを動かす」という線引きがされています。コネクタを新規作成したり設定値を書き換えたりすることは、v26.4でもできません。
ツール | できること |
|---|
trigger_connector | コネクタの受信/送信を実行する |
requeue_message | トランザクションを再送する(Transactionタブの再キューと同等) |
cleanup_files | メッセージファイルの一括クリーンアップ(アーカイブ/削除) |
実際の使い方のイメージ
これまでは、AIクライアントで原因を特定したあと、Arcの管理画面に戻って手作業で再送する、という往復が必要でした。v26.4ではその往復がなくなります。



trigger_connectorを利用して、すぐにエラーとなったメッセージを再送します。


cleanup_filesを利用して、クリーンアップを行います。


2. 診断基盤の強化:ログとメッセージが紐付くようになる
correlationId によるログの相関
v26.3diagnose_messageは、トランザクションのログ内容を主な診断材料にしていました。そのため「アプリケーションログ」「リクエストログ」と、対象メッセージとの紐付けができませんでした。
v26.4では、アプリケーションログ/リクエストログのテーブルに CorrelationId カラムを追加し、リクエスト入口(HTTP、AS2、SFTP、スケジュール実行、Flow API呼び出し)で発行したcorrelationIdを、ワーカースレッド・非同期タスク・スケジューラ・コネクタ実行経路へ伝播させます。
これにより、受信したリクエストと、そこから生成されたトランザクションが同じIDを共有するようになり、Admin APIのログ/リクエストのエンドポイントでもcorrelationIdによるフィルタ(OData filter)が使えるようになります。MCP側ではfind_logs、find_requests、diagnose_messageがこのIDを利用します。
運用にあたっての注意
組み込みMCPサーバーは既定で有効で、AIクライアントからは https://<baseurl>:<port>/mcp.rsc に接続します。認証には、Arcのユーザーごとに発行するauthtoken(User Rolesページの API Access タブで「Enable Authtoken Access」を有効にすると発行されます)を x-cdata-authtoken ヘッダーで指定します。AIクライアント別の設定手順は製品ドキュメントをご参照ください。そのうえで、運用時は以下にご注意ください。
MCPサーバーはArcのデータをAIクライアントに渡します。AIの回答は不完全・不正確なことがあるため、診断結果は出発点として扱い、重要な判断はArc本体で裏取りしてください。
必ずHTTPSで接続してください。http://はlocalhostでのテストのみに利用ください。
MCPサーバーはArcの認証・認可をそのまま尊重します。ユーザーは自分が権限を持つデータしか参照できません。パスワード・トークン・秘密鍵はマスクされ、暗号化されたVault値は返りません。
おわりに
v26.3のMCPサーバーが「Arcの状態をAIに読ませる」ステップだったとすれば、v26.4は「読ませた結果を、そのまま実行まで繋げる」ステップです。設定変更は引き続き人間の領域に残しつつ、日々の運用で頻度の高い「再送」「手動実行」「ファイルのクリーンアップ」をAIクライアントから扱えるようになり、correlationIdによるログの相関で原因の調査もしやすくなりました。CData Arcは30日間の無償トライアルをご利用いただけます。ぜひお手元の環境でお試しください。
この記事では CData Arc 2026 - 26.4.9792 を利用しています。