CData Arc 2026.Q3(26.3)アップデート - 主な新機能

CData Arc 2026.Q3(26.3)アップデート - 主な新機能

こんにちは。CData Software Japan の色川です。

秋も深まり、まもなくCData Arc 2026 もQ4 アップデート(26.4)の提供が予定されています。CData Arc 2026(26.x)での進化を振り返ると、2026/01 の CData Arc 2026(26.1)はAI コネクタやGit バージョン管理など多くの新機能が登場したメジャーアップデートで、続く 26.2 はそれらを「本番適用のステージ」へと押し上げるリリースでした。そして2026/07 にリリースされた現時点で最新の26.3 では、すべてのメッセージデータを対象とした「保存時の暗号化」、リモートGit サーバーを必要としない「ローカルリポジトリ」、組み込みMCP サーバーによる「AI 診断」など、エンタープライズの「守り」と「現場の運用」をさらに強化するリリースになっています。厳格なセキュリティ要件、設定変更に伴う運用リスク、迅速な問題診断といった、Arc を安心して使い続けていただくためのテーマに応えるアップデートです。

運用の強化・効率化に寄与するアップデートが多いこともあり、リリースからしばらく経った今も、26.3 の新機能に関する関心やご相談を良く頂きます。CData Arc 2026.Q3 アップデート(26.3)の概要は「こちらの記事」でお知らせしていますが、この記事では、26.4、さらにその先のメジャーアップデートに備えて、この夏にリリースされた26.3 アップデートの主な新機能について、あらためて詳しくご紹介します。26.3 の数多くのアップデートの中から、以下のポイントを取り上げています。

・すべてのメッセージデータに対する「保存時の暗号化」

・組み込みMCP サーバーによる「AI 診断」

・バージョン管理機能の強化(ローカルリポジトリと差分表示)

・組み込みの「アプリケーションデータベース移行」機能

・接続性の強化(JOIN デザイナー・API Profile)

・新しいコネクタとスクリプティングの強化(Python・AES・_state)

・アクセス制御(RBAC)の拡張とサービスアカウント

・日々の運用を支える新機能

すべてのメッセージデータに対する「保存時の暗号化」

セキュリティチェックシートや内部監査で「保存データの暗号化」を求められる場面は、業種業界を問わず増えてきました。Arc はこれまでも接続パスワードなど機密性の高い設定値を暗号化して保護してきましたが、Send やReceive といった内部ストレージを通過するメッセージデータ(連携対象のファイルそのもの)を暗号化したい場合は、OS やストレージなど下層レイヤでの対応が必要でした。

26.3 では、Arc の内部ストレージに保存されるすべてのメッセージデータを対象とした、アプリケーションレベルの「保存時の暗号化」がサポートされました。暗号化アルゴリズムはAES-256-GCM で、暗号化と復号はArc が透過的に行います。既存のフローやコネクタ設定を変更する必要はなく、連携先や取引先へはこれまでどおり平文のファイルが配信されます。PCI DSS やGDPR といった規制はもちろん、国内の各種ガイドラインやお客さま独自のセキュリティ基準への対応にも活用いただける新機能です。

動作モードは、移行のペースにあわせて以下の4つから選択できます。多くの環境では、新しいファイルを暗号化しつつ既存の平文ファイルも処理できる「標準」がフィットするかと思います。

モード

書き込み

読み取り

無効(既定)

平文

平文のみ

互換

平文

暗号化・平文の両方

標準(推奨)

暗号化

暗号化・平文の両方

厳格

暗号化

暗号化のみ(平文はエラー)

なお、この機能はArc の既存のマスターキー機構を利用するため新たにキーを用意する必要はありませんが、カスタムマスターキーへのアクセスを失うと暗号化されたデータは復元できませんのでご留意ください。有効化の前にキーのバックアップ手順を整えておくのが確実です。また、設定ファイル(機密値は従来の機構で別途暗号化)とアプリケーションデータベースはこの機能の対象外であること、モード変更の反映にはArc の再起動が必要であることも、あわせて押さえておいてください。

組み込みMCP サーバーによる「AI 診断」

複数のコネクタで構成された連携フローで問題が起きたとき、原因の特定には「トランザクション」タブの確認、アプリケーションログの取得、複数の画面にまたがるコネクタ設定の照合が必要で、それなりの時間がかかります。運用担当の人手が限られる中で「一次切り分けだけでも自動化したい」という声も増えてきました。

26.3 では、Arc に「組み込みのMCP(Model Context Protocol)サーバー」が搭載されました。Claude Desktop をはじめとするMCP 互換のAI クライアントから稼働中のArc に直接接続し、「このワークスペースのコネクタ構成を要約して」「今後30日以内に有効期限が切れる証明書は」「このメッセージのフローを追跡して」「過去24時間のAS2 エラーを表示して」といった問い合わせに、Arc のUI を操作することなく回答が得られます。

MCP サーバーは、ワークスペース、コネクタ、メッセージ、ログ、証明書、システムヘルスなどを網羅する「14 の読み取り専用ツール」を提供します。特定のメッセージを診断する「diagnose_message」、メッセージがコネクタ間をどう流れたかをエンドツーエンドで追跡する「trace_message_flow」、エラー件数や期限切れ間近の証明書、コネクタ別の失敗率などをまとめて取得する「check_health」などが代表的なツールです。既定で有効になっており、既存のユーザー・ロールによるアクセス制御がそのまま適用されます。すべて読み取り専用のため「AI が設定を変えてしまうのではないか」という心配なく、賢い運用の相棒として試していただけます。

Arc のAI 関連機能は26 系で大きく進化してきました。26.1 のAI コネクタが「連携フローの中でAI から判断(文脈)を受け取る」機能だとすると、組み込みMCP サーバーは「Arc の稼働状況という文脈をAI に渡す」機能と言えるかも知れません。接続方法や、kintone コネクタのエラー分析を依頼した動作イメージは「こちらの記事」で詳しくご紹介しています。あわせてごらんください。

バージョン管理機能の強化

26.1 で搭載された「Git バージョン管理」は、エンタープライズシーンで特にご関心をいただくことの多い機能です(概要は「26.1 の記事」と「26.2 の記事」でご紹介しています)。26.3 では「導入のハードル」と「日々の使い勝手」の両面が進化しています。

ローカルリポジトリ

これまでArc のGit バージョン管理では、GitHub やGitLab などのリモートGit サーバーが必要でした。実はこの前提条件が国内のお客さまには意外と高いハードルで、「閉域網でGit サーバーを置けない」「社内ポリシー上、外部のGit サービスを使えない」といった理由から適用にハードルが生じるケースも幾つか伺っています。

26.3 では「ローカルリポジトリ」オプションが追加され、リモートGit サーバーなしで、Arc サーバー上にスタンドアロンのGit リポジトリを直接作成できるようになりました。コミット履歴やブランチといった機能を初日から利用でき、後からリモートサーバーに接続する場合も履歴を失うことはありません。「まずはローカルで設定変更の履歴を残すところから」といった形で始めていただけるようになったのは嬉しいアップデートではないでしょうか。

読みやすくなった差分表示

すでにArc のGit バージョン管理を利用されている方にとって大きいのが、差分表示の改善です。従来は生のunified diff 形式で確認する必要がありましたが、26.3 では、コネクタ設定や共有接続などの差分がセクションごとに構造化され、コミットや復元、履歴の閲覧といった場面で新旧の値を並べて確認できるようになりました。「何を変えたのか」をGit に詳しくない担当者でもレビューできるようになり、変更管理のプロセスにArc のバージョン管理を組み込みやすくなっています。

組み込みの「アプリケーションデータベース移行」機能

Arc は、トランザクションログや監査ログ、コネクタの状態といったデータを「アプリケーションデータベース」に保存しています。既定の組み込みデータベース(.NET 版はSQLite、クロスプラットフォーム版はH2)は、トランザクション数が増えてくると外部データベースへの切り替えが推奨されますが、従来の移行はサードパーティ製ツールでの手動移行か、一から始めて履歴を諦めるかの二択でした。「外部DB に移したいが、履歴は失いたくない」というご相談を頂くこともありました。

26.3 では、ガイド付きの「アプリケーションデータベース移行」機能が搭載されました。「設定 > 詳細設定」から、外部ツールを使わずに、すべてのアプリケーションデータを組み込みデータベースからSQL Server、MySQL、PostgreSQL へ移行できます。移行を開始するとArc はセーフモードに入り、コネクタと受信エンドポイントを一時停止したうえで、テーブルごとの進捗をUI に表示しながら移行を進めます。移行中にArc が予期せず終了しても中断箇所から再開できるクラッシュリカバリも組み込まれています。セーフモードの間はファイル処理が止まるため、実際の移行は計画メンテナンスの時間帯に実施いただくのが良いでしょう。

接続性の強化

データソースへの豊富な接続性は、従来からArc の大きな特徴の1つです。26.3 でも接続性に関する強化が含まれています。

JOIN クエリデザイナー

指定したデータソースに対するSelect アクションで複数のテーブルを結合して取得するには、従来はカスタムクエリでSQL を記述する必要がありました。26.3 ではデータベースコネクタとアプリケーションコネクタのSelect アクションに、UI 上の操作でJOIN を構成できる「JOIN クエリデザイナー」が搭載され、テーブル構造の種別として「結合テーブル」を選択し、結合の種類と結合に使うテーブル・カラムを指定するだけで、SQL を書くことなく複数の関連テーブルのデータを単一のクエリにまとめることができます。n+1 のクエリパターンがコスト高になるSalesforce のようなレート制限付きのAPI にとっては、特に価値と効果のある改善になっています。

具体的な設定手順は「こちらの記事」で詳しくご紹介しています。あわせてごらんください。

API Profile のネイティブサポート

「API Profile」は、Web API にSQL でアクセスできるようにするCData のスキーマ定義です。26.3 では、API Profile のカタログにArc の「接続」ページから直接アクセスできるようになり、利用したいプロファイルをダウンロードして、アプリケーションコネクタと同じようにSelect やLookup アクションで利用できるようになりました。

カタログには、freee やSmartHR、マネーフォワード、Chatwork、LINE WORKS、KING OF TIME、楽楽明細、請求管理ロボなど、国内のSaaS 向けのプロファイルが数多く用意されています。これらのサービスにArc の連携フローから直接アクセスできるようになるのは、日本のお客さまにとって特に価値のある強化になっています。

使い方は「こちらの記事」で詳しくご紹介しています。あわせてごらんください。

新しいコネクタとスクリプティングの強化

26.3 では、これまで「ArcScript やScript コネクタで実現していた処理」を専用のコネクタや仕組みとして提供する方向の強化も含まれています。

Python コネクタ

2025.Q2 から利用いただいている Arc のPython サポートは、これまでScript コネクタの中で言語としてPython を指定する形でした。26.3 では専用の「Python コネクタ」が追加され、最初から「Python を実行するためのコネクタ」としてフローに配置でき、「どこでPython を使っているか」が一目で分かるようになりました。なお、Python の実行にはArc を稼働させているサーバーでの事前セットアップが必要です。使い方は「こちらの記事」で詳しくご紹介しています。あわせてごらんください。

AES コネクタ

取引先との間で「AES で暗号化したファイルを授受する」という要件は、国内のB2B 連携でも時々伺います。従来は ArcScript のcryptoEncrypt / cryptoDecrypt オペレーション で実装いただいていましたが、26.3 では専用の「AES コネクタ」が追加され、メッセージの暗号化と復号をコネクタの設定だけで処理できるようになりました。暗号モードはGCM(既定・推奨)やCBC を含む7種類に対応し、Nonce / IV は自動生成のほか、静的な値やメッセージヘッダーからの指定も選択できます。OpenPGP コネクタと並んで「暗号化ファイルの授受」をノーコードで構成できる選択肢が増えた形です。

永続ステート(_state)

ArcScript に、コネクタインスタンスのスコープでキー/値を永続的に保存できる「_state」アイテムが追加されました。スクリプトの実行をまたいで値を記憶できるため、重複ファイルの検出やカウンタ、前回実行時の値の保持といったステートフルな処理をシンプルに実装できます。任意のビジネスロジックをArcScript で実現しようと検討する際「前回取得した最終更新日時を覚えておいて差分だけ取りたい」「同じファイル名を二度処理したくない」というご相談は良く頂きますが、_state はまさにそのような時に活用できる仕組みです。

アクセス制御(RBAC)の拡張とサービスアカウント

社内外のデータ連携を一貫して担うArc にとって、権限の最小化や棚卸しといった「コントロール」は重要なテーマです。26.3 では、ロールベースのアクセス制御(RBAC)の対象が「接続」と「フローAPI」に拡張され、共有接続の利用権限をポリシーでスコープしたり、フローAPI の「特定のエンドポイントの呼び出し(Invoke)だけを許可する」といった制御ができるようになりました。あわせて、パスワードを持たず認証トークンまたはOAuth クライアントクレデンシャルでのみ認証する、自動化システム向けのユーザー種別「Service(サービスアカウント)」が追加されました。26.2 のOAuth 2.0 認証と組み合わせることで、「人のアカウント」と「システムのアカウント」を明確に分離した運用が可能になります。

日々の運用を支える新機能

さまざまなデータ連携フローを「作って運用する」タイプの製品であるCData Arc にとって、管理・運用のしやすさは常に大切にしているテーマです。26.3 でも、日常の運用に効く新機能が複数搭載されています。

ログパターン解析

「アクティビティ」ページのアプリケーションログに、類似したログエントリをグループ化して表示する「ログパターン解析」が追加されました。メッセージの可変部分を <*> に置き換えた「パターン」ごとに件数や発生のトレンドが一覧され、ログ量の多い環境でも「繰り返し発生している問題」を一目で特定できます。

そのほかの運用改善

・SFTP Server やFTP Server、AMQP、MQTT などのサーバー型コネクタのページに、サービスの稼働状態が直接表示されるようになりました。バックオフ状態に入った際のステータスインジケーターも追加されています

・SFTP / FTP コネクタのリモートパスで「日付マクロ」がサポートされ、日付ベースのフォルダ構造に設定だけで対応できるようになりました

・Email Receive コネクタで、処理済みのメールをアーカイブフォルダに移動できるようになりました

・SFTP Server コネクタに「切断時に確定(Finalize on Disconnect)」設定、SFTP Server / FTP Server コネクタに「ホームディレクトリ」設定が追加されました

・XML Map コネクタで、新しいソースファイルを読み込んだ際に既存のマッピングを保持するようになり、「AI アシストマッピング」は1対1 以外の複合的なフィールド関係にも対応しました

その他

Arc を含め、CData 製品ではビルドアップデートが継続的に提供されています。Arc 26.3 も最初のリリース以降に数度のビルドアップデートをお届けしており、この記事の時点での最新ビルドは26.3.9783(2026/10 公開)です。

また、26.3 へのバージョンアップでは、旧(クラシック)設定UI の削除や、管理API の flowAPIs リソースの複合キー化、Salesforce コネクタの基本認証の非推奨化、「Sent Folder」設定の非推奨化(File コネクタによる成功パスへの置き換えを推奨)など、幾つか押さえておきたい変更点もあります。詳しくは「リリースノート」をごらんいただき、影響範囲にご不明な点があれば一度テクニカルサポートまでお問い合わせください。

まとめ

この記事では、リリースから約3ヶ月経過した「CData Arc 2026.Q3(26.3)アップデートの主な新機能」について、あらためてご紹介しました。

「保存時の暗号化」「ローカルリポジトリ」「AI 診断」など、26.3 がエンタープライズの「守り」と「現場の運用」を大きく強化したリリースになっていることをイメージいただけたかと思います。26.1 で登場した機能群が26.2 で本番適用のステージへと進み、26.3 でそれを安心して運用し続けるための土台が整った、という流れで捉えていただくと分かりやすいかも知れません。ぜひお試しください。まもなくリリースが予定されている次のアップデート(26.4)にも、ご期待ください。

CData Arc 2026.Q3(26.3)では、他にも多くの機能強化・機能改善が施されています。詳しく知りたい方は「リリースノート」をあわせてごらんください。

新しいバージョンに限らず、現在ご利用のバージョンについても、設定や利用方法などご不明な点があれば、お気軽にテクニカルサポートまでお問い合わせください。


この記事では CData Arc™ 2026 - 26.3.9783.0 を利用しています