
この記事では「CData Arc ハンズオンセミナー ~はじめてのCData Arc~」の「シナリオ3-1」について進めていきます。
ハンズオンのシナリオ
データベースやSaaS から取得したデータを元に、生成AI で分析させるのはよくあるシナリオです。
このシナリオではkintone から取得(Select)したデータを生成AI (ChatGPT) に渡して分析させ、結果をメールで通知します。

kintone の構成
このシナリオでは、SFA(営業支援)パックのサンプルに含まれる案件管理アプリのデータを利用します。

連携フローの概要
このシナリオでは、このような連携フローを作成していきます。

| コネクタ | 設定内容 |
1 | Kintone | kintone からデータを取得(Select) |
2 | AI | kintone から取得したデータをAI に渡す |
3 | Email Send | AIの分析したレポートをメールで送信する |
ワークスペースの作成
CData Arc では、目的の異なる連携フローを分離できるように、任意の「ワークスペース」を作成することができます。ワークスペースを作成するにはフローページの「ワークスペースを追加」をクリックします。

ワークスペース名には任意の名称を設定することができます。何のためのワークスペースか、分かりやすい名前を設定します。ここでは「kintone_to_ChatGPT」と設定します。

このシナリオでは、この「kintone_to_ChatGPT」ワークスペースにフローを作成していきます。

kintone コネクタ
最初に「kintone の案件管理アプリからSelect(データを取得)」するkintone コネクタを設定します。この連携フローのはじまり(起点)となるコネクタです。
コネクタは右上の「+追加」から選択や検索をして追加することができます。またフローキャンバス上での右クリックなどからも追加することができます。


コネクタID には任意の名称を設定することができます。何を行うコネクタか、分かりやすい名前を設定します。ここでは「kintone_案件管理_Select」と設定します。

このコネクタが実行するアクションも指定します。ここではデータを取得するための「Select」アクションを選択して「+コネクタを作成」します。

接続の作成
作成したコネクタの設定に移ります。kintone への接続情報を作成します。「Connection」の「作成」をクリックします。ここで作成した「Connection」は、他のkintone コネクタでも利用することができます。

「接続の追加」ダイアログで、ハンズオンで利用するkintone への接続を作成していきます。名前には任意の名称を設定することができます。識別しやすい名前を設定します。ここでは「kintone_Handson」と設定します。

接続に必要な以下の情報を設定します。
項目 | 設定する内容 |
URL | ハンズオン環境のクレデンシャル情報に従って設定します |
User | ハンズオン環境のクレデンシャル情報に従って設定します |
Password | ハンズオン環境のクレデンシャル情報に従って設定します |
設定したら「追加およびテスト」で作成します。作成されたら、接続テストも成功です。

Connection を作成したら、警告メッセージが表示されていますので、コネクタの設定を一度保存します。

テーブル
kintone からデータをSelect するテーブルを選択します。「+ 追加」をクリックして「テーブルの追加」ダイアログを開きます。

「案件管理」テーブルを選択して「+追加」をクリックします。「テーブル」に「案件管理」が追加され、「カラム」に「案件管理」テーブルの列構成が反映されます。


「保存」で、コネクタの設定を保存します。

高度な設定
kintone コネクタではデフォルトでは取得したデータがレコード単位にメッセージファイルとして生成されます。今回は後続のAI コネクタに全てのレコードをまとめて渡す必要があるため、追加の設定を行います。設定画面の「高度な設定」タブに移動します。

「Max Records」の設定を「-1」とします。こちらの設定を行うことで、kintone から取得したデータが1つのメッセージファイルとして後続のフローに連携されます。

取得(受信)のテスト
実際にデータを取得できることを確認してみます。「トランザクション」タブの「Receive Files」をクリックします。

「高度な設定」タブで「Max Records」を「-1」としたため、1つのメッセージファイルが生成されます。

メッセージファイル名をクリックすると、データを確認することができます。下にスクロールしていくと、複数のデータが1つのメッセージファイルに含まれていることが確認出来ます。

テストで取得(受信)したメッセージやログは、選択して「削除」できます。


AI コネクタ
次にkintone の案件管理のデータを元にAI で分析するAI コネクタを設定します。まずはAI コネクタを追加します。ここではコネクタIDは「AI_案件管理_to_ChatGPT」と設定します。またアクションタイプは「Transform」を選択します。

AI 設定
AI コネクタを作成したら、まずはAI 設定を行います。「AI 設定を構成」をクリックします。

AI 設定ではAI コネクタで利用するAI プロバイダーと利用に必要なAPI キーを設定します。

以下の情報を設定します。
項目 | 設定する内容 |
AI プロバイダー | 本シナリオではOpenAI を利用します |
API キー | API キーをセットします |
モデル | 利用可能なモデルがリストされます、本シナリオでは「gpt-4o」を選択します |

AI 設定を保存すると、AI コネクタで利用するプロンプトの設定画面が表示されます。

そしてシステムプロンプトとユーザープロンプトに以下のプロンプトを指定します。今回はkintone の案件管理アプリから取得したデータを営業戦略レポートとして分析するプロンプトを指定しています。

システムプロンプト
あなたは営業支援の専門家AIアシスタントです。
kintoneの「案件管理」アプリから取得したXML形式の営業案件データを分析し、データドリブンな営業戦略の立案を支援します。
【データ構造の理解】
提供されるXMLデータには以下の要素が含まれます:
- 案件名: 案件の内容を示す名称
- 会社名: 顧客企業名
- 商談フェーズ: 「受注」「提案中」「内示」などの進捗状況
- 確度: 受注見込み確率(%)
- 売上(円): 見込み受注金額
- 受注予定日: 受注が見込まれる日付
- 次回アクション日: 次に営業活動を行う予定日
- 作成日時/更新日時: 案件の登録・更新タイムスタンプ
- アクション内容: 次に実施する営業活動の内容
- 詳細: 案件の背景や商談状況の詳細情報
【分析の目的と視点】
1. **売上予測の精度向上**: 確度と金額から現実的な受注予測を算出
2. **リスクの早期発見**: 停滞案件や失注リスクの高い案件を特定
3. **営業リソースの最適配分**: 優先度の高い案件にフォーカス
4. **パイプライン管理**: 案件の偏りやボトルネックを可視化
5. **アクションプランの提示**: 具体的な次の一手を推奨
【計算ロジック】
1. **加重売上予測(Weighted Pipeline)**:
```
加重売上 = 売上金額 × (確度 ÷ 100)
```
2. **停滞日数の算出**:
```
停滞日数 = 分析日 - 次回アクション日
※次回アクション日が分析日より過去の場合に停滞と判定
```
3. **緊急度スコア**:
```
緊急度 = (加重売上 ÷ 100万円) × (100 - 停滞日数) × フェーズ係数
フェーズ係数: 受注=1.5, 内示=1.3, 提案中=1.0
```
4. **リスクレベル判定基準**:
- **高リスク**:
- 次回アクション日が30日以上経過
- または受注予定日まで2週間未満で確度60%未満
- **中リスク**:
- 次回アクション日が15-29日経過
- または受注予定日まで1ヶ月未満で確度80%未満
- **低リスク**: 定期的な活動が計画されている
5. **優先度ランク**:
- **最優先(Critical)**: 加重売上200万円以上 かつ 受注予定日が1ヶ月以内
- **高(High)**: 加重売上100万円以上 または フェーズ「受注」「内示」
- **中(Medium)**: 加重売上50-100万円 または 確度60%以上
- **低(Low)**: その他
【受注時期の判定】
- 今月受注見込み: 受注予定日が分析日から当月末まで
- 今四半期受注見込み: 受注予定日が分析日から四半期末まで
- 次四半期以降: それ以降の案件
【重要な注意事項】
1. 日付は全てYYYY-MM-DD形式で統一
2. 金額は整数値のみ(円単位、カンマなし)
3. パーセンテージは小数点第1位まで
4. 各案件の分析では実際のデータに基づいた具体的な推奨事項を記載
5. ビジネス文脈を考慮した実践的なアドバイスを提供
ユーザプロンプト
以下のkintone「案件管理」アプリから出力されたXMLデータを分析し、Markdown形式で営業戦略レポートを生成してください。
【分析基準日】
2025年9月1日
【ビジネスコンテキスト】
- 業種: IT・システム導入支援企業
- 今月(2025年9月)の売上目標: 20,000,000円
- 今四半期(Q3: 7-9月)の売上目標: 50,000,000円
- 平均成約期間: 初回商談から3-4ヶ月
- 商談特性: 月末に向けて成約が増加する傾向
【提供データ】
[_message.body]
【分析要件と優先度】
必須事項:
1. 【最優先】今月(9月)受注見込みの案件を特定し、目標達成率を算出
2. 【最優先】受注予定日が既に経過している案件を抽出し、対応策を提示
3. 【高】次回アクション日が30日以上経過している停滞案件を警告
4. 【高】加重売上TOP5の優先フォロー案件をリストアップ
推奨事項:
5. 【中】今四半期の受注予測を確度加重で計算し、目標達成見込みを評価
6. 【中】商談フェーズ別の案件分布を分析し、パイプラインの健全性を診断
7. 【中】顧客別の案件集約状況を分析し、アカウント戦略を提案
8. 【低】ボトルネックとなっているフェーズと改善策を特定
9. 【低】過去の活動パターンから成功要因を抽出
【期待するアウトプット】
- 数値に基づいた客観的な分析
- 実行可能な具体的アクションプラン
- リスクの明確な可視化
- 優先順位付けされた推奨事項
次にプロンプトの中でMarkdown形式で出力するように構成しているため、「設定」タブのローカルファイルスキームでMarkdown 形式でアウトプットファイル名を作成するように構成します。

Email Send コネクタ
最後にEmail Send コネクタを利用して、AI コネクタで作成したMarkdown形式のレポートをメールで送信を行います。Email Send コネクタを追加します。ここではコネクタIDは「EmailSend_Report_to_User」と設定します。

接続の作成
作成したコネクタの設定に移ります。最初にEmail Send コネクタで利用するメールサーバー(SMTPサーバー)への接続情報を作成します。「Connection」の「作成」をクリックします。ここで作成した「Connection」は、他のEmail Send コネクタでも利用することができます。

「接続の追加」ダイアログで、ハンズオンで利用するメールサーバー への接続を作成していきます。名前には任意の名称を設定することができます。識別しやすい名前を設定します。ここでは「MailServer_Handson」と設定します。

接続に必要な以下の情報を設定します。
SMTP サーバー | smtp.office365.com |
ポート | 587 |
送信元 | Outlook のメールアドレス |
暗号化の種類 | STARTTLS |
認証の仕組み | OAuth 2.0 |
ユーザー | Outlook のメールアドレス |
認証URL | https://login.microsoftonline.com/<ディレクトリ (テナント) id>/oauth2/v2.0/authorizeディレクトリ> |
アクセストークンURL | https://login.microsoftonline.com/<ディレクトリ (テナント) id>/oauth2/v2.0/tokenディレクトリ> |
クライアントID | クライアントID |
クライアントシークレット | クライアントシークレット |
スコープ | offline_access https://outlook.office.com/SMTP.Send |

なお今回はメールサーバーにOutlookを利用しています。他にもGmail のメールサーバーなども利用可能です。各メールサーバー設定方法については以下のブログ記事も合わせてご参照ください。
メール通知用のメールサーバにOutlook(Exchange Online)を利用する
メール通知用のメールサーバとの認証にOAuth を利用する
設定したら「Connect to Email Send」でメールサーバーとの接続を行います。接続が成功したら、接続設定を保存します。

Connection を作成したら、その他の設定を行います。今回はAI コネクタで作成したMarkdown ファイルを添付ファイルとして送信したいため、メッセージタイプに「添付ファイルモード」を選択します。そして送信先のメールアドレスを宛先に、件名と本文を入力します。

フローの実行
これでシナリオの連携フローが完成しました。作成したコネクタを繋げて、以下のようなフローを構成します。連携フローを手動で実行するときは、先ほどのように起点のコネクタでデータをアウトプット(受信)する以外に、トリガー開始の「手動で受信」からも実行することができます。今回はトリガー開始の「手動で受信」を実行します。

実行結果の確認
kintone コネクタのトランザクションタブを確認すると受信の成功が確認できます。受信に成功(Success)したメッセージファイルは、オートメーションの機構により、後続のAI コネクタに渡されます(インプットされます)。

AI コネクタのトランザクションタブより、kintone コネクタから渡されたメッセージファイルがChatGPTに渡され、レポートがアウトプットされていることが確認できます。

最後のEmail Send コネクタの「トランザクション」タブで、AI コネクタから渡されたメッセージファイルを添付したメールの送信が成功していることを確認出来ます。

メールの確認
実際に受信したメールも確認します。

AI コネクタで作成したMarkdown のレポートファイルが添付されていますので、ダウンロードして確認します。

ここまでのまとめ
これで「CData Arc ハンズオンセミナー ~はじめてのCData Arc~」の「シナリオ3-1」が完了しました。
ハンズオンテキスト
この記事では CData Arc™ 2026 - 26.2.9631.0 を利用しています。