こんにちは。CData Software Japan の杉本です。
先日リリースされたCData Arc 2026.Q4 アップデート(v26.4)では、「Microsoft 365 Email コネクタ」が新たに追加されました。Microsoft Graph API をベースにした、Microsoft 365(Exchange Online)専用のメール送受信コネクタです。本記事では、このコネクタの概要をご紹介します。
なぜ新しいメールコネクタが必要だったのか
取引先から届いた注文データ(CSVやPDF)の添付ファイルを基幹システムへ取り込む、処理結果を担当者へ通知する、エラーを知らせる——こうしたフローを、CData Arcでは Email Send/Email Receive コネクタ(SMTP/IMAP)で実現してきました。
一方でMicrosoftは、Exchange Onlineの基本認証(Basic Authentication)を段階的に廃止し、Graph APIとモダン認証を前提とした連携を推し進めています。既存のEmail Send/Email ReceiveコネクタもOAuthに対応していますが、Exchange Online側でSMTP AUTHを有効化したり、Entra IDにアプリを登録したりと、接続までに複数の設定が必要になる場合があります。詳細は以下のブログ記事をご参照ください。
メール通知用のメールサーバにOutlook(Exchange Online)を利用する
既存のEmailコネクタとの関係
まず整理しておきたいのは、これは既存コネクタの「モード追加」ではなく、別のコネクタであるという点です。
つまり「Microsoft 365 なら Microsoft 365 Email コネクタ、それ以外は従来のEmailコネクタ」という選び分けになります。
主な特長
1. 接続までの設定がシンプル
Graph API経由で接続するため、Exchange Online側でSMTP AUTHを有効化する必要はありません。また、AzureAD認証であれば、ブラウザでサインインして同意するだけで接続でき、Entra IDにカスタムアプリを登録する必要もありません。

2. 共有メールボックス・部門メールボックスを無人で扱える
アプリ専用認証(AzureServicePrincipal、AzureServicePrincipalCert、AzureMSI)を使うことで、特定の担当者アカウントに依存せず、order@ や support@ といった共有・部門メールボックスへアクセスできます。対象のメールボックスは、接続設定の User Principal Name (UPN) で指定します(例:[email protected])。複数のメールボックスを扱う場合は、メールボックスごとに接続を作成します。
なお、アプリ専用認証を利用するには、Entra IDでのアプリ登録と、アプリケーション権限(Mail.ReadWrite、Mail.Send)への管理者の同意が必要です。
対応する認証方式と想定ユースケースは次のとおりです。
AzureAD:委任ユーザー認証。サインインしたユーザー自身のメールボックスを扱う場合に
AzureServicePrincipal(既定):クライアントシークレットによるアプリ専用認証。共有・部門メールボックスの無人運用に
AzureServicePrincipalCert:証明書によるアプリ専用認証。証明書ベースの資格情報が組織要件の場合に
AzureMSI:マネージドID認証。Azure上でArcを運用していて、資格情報を持たずに接続したい場合に
3. メールを残したまま処理済みを管理できる
メール受信フローでよくある悩みが、「処理済みのメールをどう区別するか」です。削除や別フォルダへの移動は元のメールボックスの状態を変えてしまうため、担当者も目を通す共有メールボックスでは敬遠されがちです。
Microsoft 365 Email コネクタでは、受信後の処理として、既読にする、Outlookのカテゴリを付与する、指定フォルダへ移動する、の中から選べます。カテゴリ付与(例:Arc-Processed)を選べば、メールを受信トレイに残したまま、Outlook上で「Arcが処理したメール」がひと目で分かります。なお、付与するカテゴリはあらかじめメールボックス側に作成しておく必要があります。

4. 必要なメールだけを受信できる
受信フィルタを利用して、フォルダ、既読状態、重要度、添付ファイルの有無、受信日時などで受信対象を絞り込めます。このほか、件名、送信者、会話(スレッド)単位での絞り込みにも対応しています。

「添付ファイル付きの未読メールだけを取り込む」といった要件も、設定だけで実現できます。また、ダウンロード設定を「Attachments」として、添付ファイルを1つずつ個別のメッセージとしてフローに流すこともできるため、注文ファイルの取り込みのようなフローもシンプルに組めます。

5. 共有メールボックスの名義で送信できる
Send アクションでは、送信元アカウント(別ユーザー・共有メールボックスとして送信)と 代理送信元(別ユーザーの代理として送信)を指定できます。「処理結果の通知を、担当者個人ではなく order@ 名義で送りたい」といった要件に対応できます。

コネクタのアクション
Microsoft 365 Email コネクタは、メール専用の Receive/Send に加え、CData のドライバーベースコネクタ共通のアクションも備えています。
Receive:メールボックスからメールを受信し、フローに渡します。前回の受信位置を記録し、新着メールのみを処理します。
Send:フローに届いたファイルを、本文または添付としてメール送信します。
Select/Upsert/Lookup/Execute Stored Procedures など:フォルダの作成やメッセージの移動など、受信・送信以外の操作に利用できます。

おわりに
CData Arc の Microsoft 365 Email コネクタを使えば、Graph APIを利用して、共有メールボックスを起点とした業務連携をノーコードで構築できます。CData Arcは30日間の無償トライアルをご利用いただけます。ぜひお手元の環境でお試しください。
この記事では CData Arc 2026 - 26.4.9792 を利用しています