TCWGlobalは、150か国以上のワーカーの管理とサポートを企業向けに支援する、非正規人材マネジメント企業です。グローバルに展開し、常時数千件のワーカーアサインメントを扱う同社では、オペレーションチームとクライアントサポートチームの業務に、データへの迅速で正確なアクセスが欠かせません。
TCWGlobalの社内テクノロジー・データ部門であるApolloチームは、スタッフがチケットの回答を待つのではなく、自然な言葉で直接尋ねられる社内エージェント群の構築に着手しました。その第一号であり、最もデータ集約的だったのが「Mini」です。プロダクトとオペレーション面はHalle Davis氏が主導し、データインフラはJill Arldt氏が担当しました。エージェントとTCWGlobalのシステムをつなぐレイヤーは、CData Connect AI上で動作しています。
PIIを露出させずにAIエージェントへリアルタイムデータアクセスを与える
チームが最初に取り組んだ課題の1つがセルフサービスの実現であり、そのためには技術構成の見直しが必要でした。既存の構成はそれを想定して作られていませんでした。誰かがデータを新しい切り口で見たいと思うたびに、チケットを送っていました。回答が返ってくるのは、順調な週でもたいてい48時間後です。そうならない場合は、顧客が電話口で待たされたり、リクルーターが業務を進められなくなったりしていました。その答えが、社内エージェントを構築することでした。最も難しかったのは、データレイヤーを正しく作ることでした。
Apolloチームは、連携を自社開発することも検討しました。TCWGlobalには技術力があり、各プラットフォームへ直接APIで接続することは可能でした。しかし、AIエージェントが役に立ち続けるということは、そのデータレイヤーを最新に保ち続けることを意味します。APIの変更を追い、認証を管理し、ニーズの変化に応じてフィールドを追加する。そうした接続を維持し続けるエンジニアリングコストは、2名体制のチームが吸収できる範囲を超えていました。
PIIという制約は、アーキテクチャの問いをさらに鋭いものにしました。TCWGlobalはワーカー全体にわたって大量の個人識別情報を扱っています。AIモデルに供給するためにそのデータを移動したりレプリケーションしたりする設計は、チームが受け入れられないコンプライアンスリスクを生みます。エージェントはデータを保存せずにリアルタイムでクエリする必要があり、しかも各ユーザーが閲覧を許可されている情報のみを提示する必要がありました。
「カスタマーサービス担当者は、ワーカーやクライアントの基本的な情報を見つけるだけでも3〜4種類の異なるシステムを検索しなければなりませんでした。私たちには、チームとデータをつなぐより速く直接的な導線が必要でした。」
— Halle Davis氏、Director of Apollo、TCWGlobal
AIエージェントのための、複数システムを横断するガバナンスの効いたデータレイヤー
TCWGlobalは、必要としていたものをCData Connect AIに見出しました。
4つの業務システムすべてを網羅する構築済みコネクタと、それらを標準化された形であらゆるAIエージェントへ公開するマネージドなMCPサーバープラットフォーム。AI側での個別開発の連携作業は不要です。
Jill氏が各データソースのデータを事前に結合・フィルタリングできる派生ビュー。これによりエージェントは、本番テーブルへ直接アクセスするのではなく、整理され統制されたデータ表現にアクセスします。
各ユーザーが閲覧できる範囲を接続レベルで制御するロールベースのアクセス制御。基盤となるシステムにすでに存在する権限を、そのロジックを作り直すことなくそのまま適用できます。
構築で最も時間がかかったのは、エージェントの指示書の作成でした。TCWGlobalのデータ構造、命名規則、業務固有の定義を網羅したMarkdownファイルです。エージェントは、何をもってアクティブな従業員とみなすのか、direct staffed payroll(直接雇用の給与)が何を意味するのかを理解する必要がありました。「companies」と「customers」が同じものを指すことも同様です。同じファイルには、動作面のガードレールも含まれていました。クエリあたりのツール呼び出し回数の上限、レコード件数の上限、そして結果が過大にならないようテーブルを横断して結合する際のルールです。
こうして生まれたAIエージェント「Mini」は、段階的にローンチされました。MiniはClaude上で動作し、Connect AIのMCPサーバー経由でデータにアクセスし、頻繁に使われる結果をキャッシュしてレスポンスタイムを高速に保ちます。複数のデータソースのシステム、マネージドMCPサーバー、キャッシュレイヤー、そして自然言語インターフェースからなるアーキテクチャ全体が構築されました。
「私たちはコネクタのためにConnect AIを使いたかったのです。変化するAPIエンドポイントの保守に時間を費やしたくありませんでした。しかしそれだけでなく、エージェントにデータを安全に公開する手段も得られました。必要なものをキャッシュし、エージェントが見る範囲を正確に制御する派生ビューを作り、誰が何にアクセスできるかを管理できました。おかげで私たちは、下支えする配管ではなくエージェントのロジックに集中できました。」
— Jill Arldt氏、Database Administrator、TCWGlobal
AIエージェントが複数システムをまたぐデータ探しをなくす
Miniはデータに関する質問とプロセスに関する質問の両方に答えられ、スタッフは自然な言葉で尋ねるだけでよく、チケットを起票したり待ったりする必要はありません。スタッフは次のような質問をしています。
「上位25社のクライアントはどこで、その業界は何ですか?」Miniは請求データを取得し、フィールドが未入力の箇所は情報を補いながら、その欠落にフラグを立てます。
「このメールアドレスの人物を社内システムから探して、どこにアサインされているか教えてください」Miniは接続された4つのシステムすべてを検索し、統合されたレコードを返します。
「カナダから米国へ異動するワーカーがいます。どう対応すればよいですか?」Miniは前提となる手順を順に説明し、該当する標準業務手順書(SOP)へのリンクと、その最終レビュー日を示します。
効果はすぐに現れました。あるリクルーターは外出中、ノートPCもVPNアクセスもない状態で、緊急のワーカー契約終了手続きをスマートフォンから進める必要がありました。Miniにそのワーカーの詳細とエンゲージメント情報を尋ねると、すぐに答えが返ってきました。この種の即時性が、今では当たり前になっています。新入社員は入社初日から、先輩の手を止めることなく答えを得られます。すべての質問と回答はログに記録され、チームは何が尋ねられているかを把握し、指示書を継続的に改善していく手立てを得ています。
「みんな本当に盛り上がっています。昨日寄せられた質問を見ていて、社員が知りたいと思うことの幅広さに驚かされました。しかもエージェントはそれに答えていたのです。」
— Halle Davis氏、Director of Apollo、TCWGlobal
Miniは、拡大を続けるエージェント群の1つです。Apolloチームはさまざまな業務機能にまたがるエージェントを構築しています。ロードマップ上の次のエージェントは、外部向けのバージョンです。TCWGlobalのクライアントが答えを求めてチームに連絡することなく、自社の人材データへ直接アクセスできるようにします。
CData Connect AI:AIエージェントを本番で機能させるデータレイヤー
本番で機能するAIエージェントの構築は、その下にあるデータレイヤーから始まります。リアルタイムで、ガバナンスが効いており、各ユーザーが見るべき範囲に絞られたデータレイヤーです。CData Connect AIは、機密データをレプリケーションしたり、個別開発の連携をゼロから構築したりすることなく、それを実現します。