
こんにちは。CData Software Japan リードエンジニアの杉本です。
「見積依頼のメールが来たけど、品番と数量を確認して単価を調べて……気づいたら30分とか1時間経っていた」という経験はないでしょうか。
CData Software ではおそらくソフトウェアデベロッパーの中では比較的製品・ライセンスのSKU が多い会社となっており、ざっくり2万ほどあるらしいです。

私自身も以前セールス業務を行っていた際にも、見積を作成しようとしたけれど、ライセンスの種類が色々あって、他のメンバーに聞きながら苦労して作った記憶があります。
これがソフトウェアだと在庫の概念が無いのでまだ良いのですが、例えば製造業、産業機器や部品の販売では、製品スペックと価格の確認、在庫や納期の照合まで含めると、見積作成一件でかなりの工数がかかるとお話を聞いたりします。
いくらSFAや販売管理システムを導入していても、なかなか苦労する場面が多い業務プロセスではないでしょうか。
そこで今回は Microsoft 365 Copilot Cowork と CData Connect AI を使って、kintone の見積管理・在庫管理を横断した見積業務フローを自動化する方法を紹介します。
サンプルアプリやデータはtoBの産業機器メーカーを想定して作っていますが、いろんな業種で応用できるシナリオかなと思います。
なぜ見積まわりの作業が煩雑になるのか
まず改めて見積周辺の業務を少し俯瞰して見てみましょう。見積処理で発生する主な業務は以下のとおりです。
見積依頼の受信メールを確認し、品番・数量・仕様をリストアップ
商品マスタで単価・標準納期を調べる
在庫管理アプリで実在庫・引当数・入荷予定を確認
kintone の見積管理アプリに品目・数量・単価・合計を手入力
見積書のPDFを生成
上長の承認後、Outlook で顧客へのメールを作成・送付
それぞれは単純な作業ですが、複数のアプリやサービスを行き来するため確認漏れや転記ミスが起きやすく、慣れた担当者でも見積作成にそれなりに時間がかかることがあると思います。
今回はそんな見積周辺業務をCopilot Cowork にできるだけお願いできるようにする、営業アシスタントになってもらう、というイメージで進めていきます。
こんなことができるようになります
シナリオ①:メールから見積内容を提案 → kintone に登録
顧客からの見積依頼メールを Cowork に渡すだけで、商品マスタを参照しながら品目・数量・単価・合計を自動提案。確認後 kintone の見積管理に登録します。

シナリオ②:承認済み見積を顧客にメール送付
「承認済みの見積を山田さんに送って」と伝えるだけで、kintone の承認ステータスを確認し、承認済みであれば見積内容を含むメール下書きを Outlook に保存します。未承認なら自動で止まります。

シナリオ③:在庫・納期チェック
「この見積の品目の在庫と納期を確認して」と依頼すると、在庫管理アプリと照合して欠品リスクや納期遅延の可能性を事前に検知します。

構成と仕組み
今回の構成も今までと同じです。Copilot Cowork とAI 向けデータコネクタ「CData Connect AI 」を組み合わせて実現します。
役割 | ツール |
|---|
AI アシスタント | Microsoft 365 Copilot Cowork |
データ接続・書き込みレイヤー | CData Connect AI(MCP 経由) |
業務データ | kintone(商品マスタ・在庫管理・見積管理) |

ここで最も重要なのは、CData Connect AI は kintone への書き込みにも対応している点です。Cowork から kintone にデータを登録・更新することができることにより、営業担当者の入力負荷、作業コストを最小限に抑えることができるようになります。
ちなみにここでのやり取りにはMCP(AIエージェントが外部データに接続するための標準プロトコル)が利用されています。
準備としては大まかに以下の手順が必要です。
設定手順の詳細は以前の記事「Copilot Cowork で kintone のデータを活用する方法:CData Connect AI × MCP プラグイン連携」をご覧ください。
ちなみに書き込み機能を使う場合は、あらかじめCData Connect AI の権限を調整しておきましょう。合わせてkintone から見積書のPDFや画像などをダウンロードして添付したい、という場合はExecute の権限も必要になります。

また、Copilot Cowork には「承認ダイアログ」機能があり、外部システムへの書き込み前にユーザーが内容を確認・承認する仕組みが組み込まれています。この承認ダイアログが「誤入力・誤送信の防止」として機能するのがポイントです。
それでは実際の手順・プロンプトを見てみましょう。
シナリオ①:メールから見積内容を提案 → kintone に登録
顧客からの見積依頼メール(例)
東北化学プラント株式会社の山田さんから、以下のようなメールが届いたとします。
件名: 第2プラント設備更新に伴う機器見積のご依頼
お世話になっております。東北化学プラント 山田です。
第2プラントの設備更新に伴い、以下の機器の見積をお願いしたいと思います。
・渦流量計 FV-200A(口径 50mm)× 2台
・電磁弁 SV-40A(AC100V / 口径 40mm)× 5台
・差圧伝送器 DPT-500B × 1台
納期は2026年9月末を希望しています。よろしくお願いいたします。

プロンプト例
このメールを Cowork が読み取って処理できるように、次のように依頼します。
受信ボックスの見積もり依頼メールを元に見積内容を提案して。
kintone の商品マスタから品番・単価・標準納期を取得して、
合計金額も計算して。確認してから kintone の見積管理に登録して。

Cowork は商品マスタアプリから FV-200A・SV-40A・DPT-500B の単価と標準納期を取得し、以下のような見積内容を提案します。

「承認」をクリックすると、CData Connect AI 経由で kintone の見積管理アプリに新規レコードが作成されます。見積番号・ステータス(作成中)・品目明細がすべて自動入力されます。

その後MS Teams で上長に承認依頼の通知をリクエストするのも良いですね。
シナリオ②:承認済み見積を顧客にメール送付
kintone のワークフローで上長承認が完了したあとのシナリオです。
プロンプト例
CData Connect AI のkintone の見積管理で Q-2026-0101 の承認ステータスを確認して。 承認済みなら東北化学プラントの山田さん [email protected] に 見積内容を添えた送付メールを Outlook の下書きに保存して。
見積書はkintoneのレコードに添付されているので、それをDownloadFile機能でダウンロードしてメールに添付してください。
Cowork はまず kintone の見積管理から 承認ステータス フィールドを取得します。承認済みでない場合は「まだ承認されていません」と返し、それ以上の処理は行いません。 これが誤送信防止のポイントです。

承認済みを確認できた場合は、見積内容(品目・金額・有効期限)を取得してメール文面を自動生成し、Outlook の下書きフォルダに保存します。

さらには、kintone の見積書レコードに添付されている見積書ファイルがあれば、それをダウンロードして添付することまでしてしまいます。

送付後は「ステータスを送付済みに更新して」と追加指示することで、kintone の見積管理レコードも一緒に更新できます。
シナリオ③:在庫・納期チェック
見積登録後、受注確定前に在庫と納期を確認するシナリオです。
プロンプト例
kintone の在庫管理を確認して
Q-2026-0101の見積品目(FV-200A × 2、SV-40A × 5、DPT-500B × 1)の 在庫状況と納期見込みを教えて。
Cowork は在庫管理アプリから各品番の現在庫数・引当済数・有効在庫・入荷予定日を取得し、見積数量と照合します。


【在庫・納期チェック結果】
▼ 渦流量計 FV-200A(必要数 2台)
有効在庫:1台 → ⚠️ 在庫不足(1台不足)
標準納期:3週間 入荷予定:2026-08-12
▼ 電磁弁 SV-40A(必要数 5台)
有効在庫:7台 → ✅ 在庫あり
標準納期:2週間
▼ 差圧伝送器 DPT-500B(必要数 1台)
有効在庫:0台 → ❌ 欠品
入荷予定:2026-08-05
希望納期(9月末)に対して DPT-500B の調達が最もタイトです。
FV-200A は追加発注が必要な可能性があります。


在庫不足・欠品が発覚した場合は「発注依頼を担当者にメールで連絡して」と続けて依頼することで、調達アクションまでつなげられます。
kintone ワークフロー × Cowork の役割分担
見積まわりで kintone ワークフローと Copilot Cowork を組み合わせる場合の設計パターンをまとめます。
[Cowork] メールを解析 → 見積内容を提案 → kintone に登録(承認申請中)
↓
[kintone WF] 上長が承認・差し戻し(kintone ネイティブ操作)
↓
[Cowork] 承認ステータスを確認(承認済みでなければ処理停止)
↓
[Cowork] 承認済みの場合:顧客へのメールを Outlook 下書きに保存
↓
[担当者] Outlook で内容確認 → 送付
「kintone WF = 社内承認」「Cowork の確認ステップ = 外部送付の誤送信防止」として役割を明確に分けることで、AIが勝手に顧客へ送信するリスクをなくしつつ、準備作業の手間はほぼゼロにできます。
まとめ
このようにCopilot Cowork と CData Connect AI MCP を組み合わせることで、見積まわりの作業を大幅に効率化できます。
見積依頼メールの処理 → 商品マスタ参照・金額計算・kintone 登録を自動化
顧客への見積送付 → 承認ステータスを確認してから Outlook 下書きに保存
在庫・納期チェック → 複数アプリを横断した自動照合・リスク検知
なにかわからないことがあれば、お気軽にサポートやお問い合わせからどうぞ。
https://jp.cdata.com/contact/