
「データ連携ツールを比較してほしい」という相談を受けたとき、最初に上がってくる候補はETLツールであることが多いです。ただ、話を聞いていくと実際に必要なのはノーコードで動くiPaaS的な連携だったり、逆に基幹システムを含むEAI的な仕組みだったりすることが少なくありません。比較記事ごとに登場するツールの種類が違って見えるのは、そもそも「データ連携ツール」という言葉が指す範囲が広すぎるためです。
データを移動させる方法は一つではなく、業務要件やシステム構成によって適したアプローチが変わります。バッチでまとめて処理するもの、リアルタイムに近い形で連携するもの、データを移動せず参照だけで済ませるものなど、性質が大きく異なる複数のアプローチが「データ連携」という一つの言葉の下にまとめられているのが実情なのです。
この記事では、ETL/ELT・iPaaS・EAI・データ仮想化という4つのアプローチを横並びで比較し、自社の課題がどのカテゴリに当てはまるのかを判断できるようにすることを目指します。各カテゴリについて詳しく知るための深掘り記事へのリンクも用意しました。まずは比較表と自己診断チェックリストで、自社に合うアプローチの当たりをつけていただければと思います。
なお、具体的な製品名でのランキング比較をお探しの場合は、ETL・データ統合ツール15選の比較記事もあわせてご覧ください。
データ連携ツールが複数種類に分かれる理由
「データ連携ツール」という言葉には、実はかなり異なる仕組みのツール群がまとめて含まれています。データをどこかに移動させて処理するものもあれば、データを移動させずに参照だけで済ませるものもありますし、リアルタイム性の高さも仕組みによって大きく違います。同じ「データ連携」という文脈で紹介されているのに比較記事によって挙がるツールの種類がバラバラに見えるのは、この違いが整理されずに並べられているからだと考えられます。
この記事では、業界で一般的に使われる整理のしかたに沿って、ETL/ELT・iPaaS・EAI・データ仮想化という4つのアプローチに分けて説明します。それぞれ得意な場面と不得意な場面があり、どれか一つのアプローチが常に正解というわけではありません。多くの現場では複数のアプローチを組み合わせて使っているのが実際でしょう。次の章から、各アプローチの特徴を順に見ていきましょう。
ETL/ELTとは?
ETLは、データを抽出(Extract)し、変換(Transform)してから読み込み先へ書き込む(Load)、という一連の処理を指す言葉です。ELTは変換の順番が異なり、先にデータを読み込み先へ書き込んでからそこで変換を行います。複数のシステムに散らばったデータをBIツールやデータウェアハウスへ集約する場面でよく使われます。
ETL/ELTの仕組みや主要ツールの詳しい比較、ELTとの違いをさらに詳しく知りたい方は、ETLとは?仕組み・ELTとの違い・主要ツール比較の解説記事もご覧ください。データパイプラインという言葉とどう違うのかが気になる場合は、データパイプラインとETLの違いを整理した記事が参考になるかと思います。具体的なETLツールを比較したい方には、ETL・データ統合ツール15選の比較記事も参考になるでしょう。
なお、ETL/ELTの同期手法(抽出とロードの部分)には全データをまるまる同期する全件洗い替えや、変更があった差分だけを検知して同期するCDC(Change Data Capture、変更データキャプチャ)などさまざまな方式があります。CDCの仕組みや代表的な実装手法をさらに詳しく知りたい方は、CDCの基本から仕組みまでを解説した記事も参考になります。
iPaaSとは?
iPaaS(Integration Platform as a Service)は、クラウド上で複数のSaaSどうしをノーコード・ローコードでつなぐための統合基盤です。代表的な例として、MuleSoftはエンタープライズ向けのiPaaSとしてよく知られています。ワークフローの自動化やSaaS間の連携をコーディングなしで実現したい場面で選ばれることが多いアプローチでしょう。
iPaaSの4つの分類や仕組み選び方まで踏み込んで知りたい方は、iPaaSとは?機能・分類・仕組みから選び方までの解説記事で詳しく整理しています。
EAIとは?
EAI(Enterprise Application Integration)は、社内の基幹システムどうしを連携させることに主眼を置いたアプローチです。オンプレミスで長く運用されてきた基幹システムと新しく導入したクラウドサービスをつなぐ場面や、取引先とのEDI連携・B2B連携が必要な場面で検討されることが多いカテゴリになります。ETLやiPaaSがデータの集約や分析目的で語られることが多いのに対し、EAIは業務システムそのものをつなぐことに重点を置いています。
CDataの製品ラインでは、CData ArcがEAI・B2B連携の領域に対応しています。レガシーな基幹システムを抱えたまま、クラウド連携やEDI対応を進めたいという課題がある場合は、EAIというカテゴリで検討してみる価値があるかもしれません。
データ仮想化とは?
データ仮想化は、データを物理的に移動させることなく、必要なときに元のシステムへ直接アクセスして参照する方式です。ETLのようにコピーを作らないため、データの二重管理が発生しにくく、常に元データの最新状態を参照できるという特徴があります。
一方で、参照のたびに元システムへ問い合わせが発生するため、元システムの性能や可用性に処理速度が影響されやすい面もあります。データ仮想化の定義や仕組み、導入メリットをより体系的に押さえておきたい方は、データ仮想化の定義・仕組み・メリットを解説した記事もあわせてご覧ください。
CDataのConnect AIは、データを事前にコピーせずその都度アクセスするという動き方をする点でデータ仮想化に近い性質を持つと言えるでしょう。ETLとデータ仮想化のどちらが向いているか、あるいは両方を組み合わせるパターンまで詳しく知りたい方は、ETL・データ統合・データ仮想化の違いを比較した記事をご覧ください。
4つのアプローチの比較表
ここまでの4つのアプローチを、選定の判断に使いやすいよう一つの表にまとめました。列は「データの動かし方」「リアルタイム性」「主な適用シーン」「必要スキル・運用体制」「オンプレ対応のしやすさ」「代表的な製品カテゴリ例」「対応するCData製品ライン」の7項目です。
アプローチ | データの動かし方 | リアルタイム性 | 主な適用シーン | 必要スキル・運用体制 | オンプレ対応 | 製品カテゴリ例 | 価格帯の傾向 | 対応するCData製品 |
|---|
ETL/ELT | バッチでコピー・変換して移動 | 低〜中(スケジュール実行が中心) | 複数システムのデータをBI・DWHへ集約 | データエンジニアリングの知識があると運用しやすい | 対応可能な製品が多い | ETL/ELTツール、データパイプラインツール | データ量・コネクタ数に応じた課金が中心 | CData Sync |
iPaaS | SaaS間をイベント駆動・API連携で接続 | 中〜高 | 複数SaaSのノーコード業務連携・ワークフロー自動化 | ノーコードで業務部門でも運用しやすい | クラウド中心で対応範囲は製品による | iPaaS(統合プラットフォーム) | 連携数・実行回数に応じた課金が中心 | 該当なし(CDataの主戦場ではない領域) |
EAI | 基幹システム間をアダプタ・メッセージ連携で接続 | 中 | レガシー基幹×クラウド連携、EDI・B2B連携 | 基幹システムとネットワークの知識が必要になりやすい | オンプレ資産との連携に強い | EAI/B2B統合ミドルウェア | ライセンス+導入支援を含む見積もりが中心 | CData Arc |
データ仮想化 | 移動させず元システムへ都度アクセス | 高(参照時点の最新データ) | 複数ソースの即時参照、二重管理を避けたい場合 | クエリ性能への影響を踏まえた設計が必要 | 接続元次第(製品による) | データ仮想化プラットフォーム | 接続数・クエリ量に応じたサブスク課金が中心 | Connect AI(近い動き方をする製品として) |
価格帯の傾向は一般的なライセンス形態を大まかに示したもので、特定製品の金額を示すものではありません。表からも分かるように、4つのアプローチは互いに排他的なものではなく、実際の現場では複数を組み合わせて使われることが多いです。
次の章では、自社の課題がどのアプローチに当てはまりやすいかを判断するための、カテゴリ選定レベルのチェックリストを紹介します。
自社に合うアプローチの選び方

個別のツールを比較する前に、まずカテゴリのレベルで方向性を絞り込んでおくと、そのあとの選定がスムーズになります。以下のような問いを自社に当てはめてみてください。
バッチ処理(1日1回など)で十分か、それとも即時性が必要か
連携を担当するのは情報システム部門か、それとも業務部門か
オンプレミスの基幹システムが連携対象に含まれるか
取引先とのEDI・B2B連携が必要か
データを複製したくない、または複製先を増やしたくない事情があるか
課題のパターンとしてよく見られるのは、次の4つです。
レガシー基幹とクラウドサービスを連携させたいケース(EAI/ETLが候補)
複数のExcel・SaaSのデータを手作業で集計している状態から脱却したいケース(ETL/iPaaSが候補)
複数のSaaSが分散していて連携を自動化したいケース(iPaaS/ETLが候補)
取引先とのEDI・B2B連携を効率化したいケース(EAIが候補)
ツール選定レベルの詳細なチェックリストについては、ETL/ELTツールであればETL・データ統合ツール15選の比較記事を、内製か外注かという判断軸で検討したい場合は内製か外注か、データ連携ツール選定の8つの比較軸を解説した記事を参考にしてください。
ユースケース別のおすすめアプローチ
ここでは、よくある3つのユースケースについて、どのアプローチが候補になりやすいかを整理します。
1つ目は、複数のSaaSに分散したデータをBIツールへ集約し、経営指標を一元的に把握したいケースです。この場合はETL/ELTが候補になりやすく、CData Syncのようなツールでデータをまとめて連携する構成が向いているでしょう。2つ目は、オンプレミスの基幹システムとクラウドサービスを連携させる、レガシー刷新に近いケースです。基幹システム側の接続方式によってはEAIとETLの併用になることも多く、CData ArcとCData Syncを組み合わせて検討する余地があります。Salesforceとのデータ連携手法を比較した記事でも、同様に複数の連携方式を組み合わせる考え方を紹介しています。
3つ目は、複数のSaaS間で承認フローや通知などの業務連携をノーコードで自動化したいケースです。これは典型的なiPaaSの領域で、正直に述べると、CData単体でこの用途を完結させることは想定していません。この領域を主戦場とする専業のiPaaSベンダー(MuleSoftのようなエンタープライズ向け製品や、Workato・Boomiのような業務部門でも扱いやすいノーコード系の製品など)を検討したほうが適切なケースが多いというのが実情です。
CDataでできることとできないこと
ここまでの整理を踏まえて、CDataの製品ラインがどのアプローチに対応しているかを、できることとできないことの両方から誠実にまとめておきます。CData Syncは、ETL/ELT(CDCによる差分同期を含む)に対応しており、複数システムのデータをBI・DWHへ集約したい場合や、DB間の差分同期を行いたい場合に候補になります。CData ArcはEAIとB2B連携の領域に対応しており、レガシー基幹システムとの連携やEDI対応が必要な場面に向いています。Connect AIは、データを事前にコピーせず都度アクセスするという点でデータ仮想化に近い動き方をする製品です。
自社の課題がETL/ELT・EAI・データ仮想化のいずれかに当てはまりそうだと感じた方は、該当する製品のトライアルや問い合わせをご検討ください。ETL/ELT(CDCによる差分同期を含む)であればCData Sync、EAI・B2B連携であればCData Arc、リアルタイムでのAIツールからのデータ活用用途であればCData Connect AIから、それぞれ詳細を確認できます。
まとめ
データ連携ツールと一言でまとめられがちですが、その中には性質の異なる4つのアプローチが存在します。ETL/ELT(CDCによる差分同期を含む)はバッチでの集約、iPaaSはSaaS間のノーコード連携、EAIは基幹システムの連携、データ仮想化は移動を伴わない参照という形で、それぞれ得意な場面が異なってくるでしょう。どれか一つを選べば済むという話ではなく、多くの現場では複数のアプローチを組み合わせて使っているのが実際のところです。
まずは自社の課題がどのアプローチに近いかをカテゴリのレベルで見極め、そのうえで各カテゴリの深掘り記事を読み進めていただくのがおすすめです。ETL/ELTについてはETLとは?の解説記事、iPaaSについてはiPaaSとは?の解説記事、データ仮想化との使い分けについてはETL・データ仮想化の比較記事を、それぞれ参考にしてください。
よくある質問
データ連携ツールとETLツールは同じ意味ですか?
同じではありません。ETLはデータ連携という大きな枠の中の一つのアプローチであり、バッチ処理でデータを抽出・変換・読み込みする方式を指します。データ連携ツールという言葉は、ETL/ELTに加えてiPaaS・EAI・データ仮想化まで含む、より広い範囲を指す場合が多いです。
iPaaSとETLツールの違いは何ですか?
ETLはバッチ処理でデータを別の場所へ集約することを主目的としていますが、iPaaSはクラウド上でSaaS間をノーコードでつなぎ、業務ワークフローをイベント駆動で自動化することを主目的としています。データの分析・集約が目的ならETL/ELT、業務連携の自動化が目的ならiPaaSが候補になりやすいでしょう。
EAIとiPaaSはどう違いますか?
どちらもシステム間の連携基盤ですが、EAIは主にオンプレミスの基幹システムどうしの連携や、取引先とのEDI・B2B連携を想定しています。一方でiPaaSは、クラウド上のSaaSどうしをノーコードでつなぐことを想定しており、対象とするシステムの性質が異なります。
ETL/ELTとCDC(変更データキャプチャ)はどう違いますか?
CDCはETL/ELTと並ぶ別カテゴリではなく、ETL/ELTの中で使われる同期方式の一つです。通常のバッチ処理は全件を定期的に転送しますが、CDCは変更があった差分だけを検知して同期するため、負荷を抑えながら同期の間隔を短くできます。変換前のデータを最新の状態でETL/ELTパイプラインへ渡す入口として使われることが多いアプローチです。
データ仮想化はETLの代わりになりますか?
場面によって異なります。データを複製せず常に最新状態を参照したい場合はデータ仮想化が向いていますが、参照のたびに元システムへ負荷がかかるため、大量データの集計や分析用途ではETLで一度データを集約したほうが向いている場合もあります。両方を組み合わせて使い分けるケースも見られます。
中小企業でも複数のアプローチを組み合わせる必要がありますか?
企業規模よりも、連携対象のシステム構成によって決まる部分が大きいです。SaaSだけで完結している場合はETL/ELTかiPaaSの単独導入で足りることも多いですが、オンプレの基幹システムや取引先連携が絡む場合は、規模にかかわらずEAIなど別のアプローチを組み合わせる必要が出てくることがあります。
CData SyncとCData Arcはどちらを選べばいいですか?
連携対象によって選び方が変わります。複数システムのデータをBIやデータウェアハウスへ集約したい場合、またはデータベース間の差分同期を行いたい場合はCData Syncが候補になります。レガシーな基幹システムとの連携や、取引先とのEDI・B2B連携が必要な場合はCData Arcが候補になります。両方が必要になるケースも珍しくありません。
ETL/ELTでのデータ連携をCData Syncで始める
複数システムのデータをBI・DWHへ集約したい、あるいは差分同期(CDC)でリアルタイムに近い連携を実現したい場合は、CData Syncが候補になります。400以上のSaaS・データベースにノーコードで接続でき、専門知識がなくても短期間で連携基盤を構築できます。
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