
CData Sync には、v26.2 よりEnterprise ライセンス向けに Git バージョン管理機能があります。ワークスペース単位で Git リポジトリと連携し、そのワークスペース内のジョブ・接続・パイプライン・変換を JSON 形式で同期できます。コミット履歴として変更を追跡でき、誤った変更があった場合は過去のコミットへワンクリックで戻すことも可能です。本記事では検証に CData Sync 26.3.9704.0 を使用しています。
なぜ Git のバージョン管理が必要なのか
CData Sync を運用していると、ジョブ・接続・パイプライン・変換といった構成要素は時間とともに増減し、内容も少しずつ変化していきます。誰かが意図せず編集した接続定義、いつの間にか変わっていたジョブのスケジュール、検証で作って消し忘れた一時的なジョブ。こうした変更は平時には問題になりませんが、トラブルが起きたときに「いつから変わったのか」「どの状態に戻せばよいのか」が分からないと、対応に時間がかかります。
CData Sync には監査ログ機能があり、誰がいつ何を操作したかというイベント単位の記録は残せます。一方で、構成のバックアップは手動エクスポートに頼るしかなく、運用面では次のような課題が残っていました。
構成の差分が追えない — 監査ログは操作の記録にとどまり、ジョブ定義や接続設定の「前後でどこが変わったか」を構造化された差分として確認する手段がない
ロールバックが困難 — 誤った変更をしても、以前の状態に戻すのに手間がかかる
構成のスナップショットが取れない — 特定時点のワークスペース構成をひとまとめに保存・再現する仕組みがない
チーム共有が煩雑 — 複数人で構成を引き継ぐ際にエクスポートファイルをやり取りする必要がある
Git バージョン管理を有効にすると、これらの課題をまとめて解決できます。
変更履歴の追跡 — すべての変更がコミット履歴として記録され、JSON ベースで差分を確認できる
構成のスナップショット — 任意の時点の構成がコミットとしてリポジトリに残る
即時ロールバック — 過去の任意のコミットへワンクリックで戻せる(復元機能)
構成のチーム共有 — Git リポジトリを介してメンバー間・端末間で構成を共有できる
Git バージョン管理の対応内容
管理単位
Git バージョン管理は ワークスペース単位 で行います。1 つのワークスペースが 1 つの Git リポジトリ(および 1 つのブランチ)と紐付き、Sync インスタンスに複数のワークスペースがある場合は、それぞれ別のリポジトリへ独立して接続します。インスタンス全体をまとめて 1 つのリポジトリに同期する形ではない点に注意してください。
管理対象
ワークスペース内の次の構成要素が JSON ファイルとして管理されます。
認証方式
認証方式 | 説明 |
|---|
HTTP / Personal Access Token | GitHub / GitLab / Bitbucket などの PAT を使用 |
SSH キー | サーバー側に公開鍵を登録して認証 |
OAuth | 対応プロバイダーのブラウザ認証 |
認証情報は CData Sync の アプリケーション DB 暗号化キーで保護されてサーバー側に保存されます。Git リポジトリに平文の認証情報が書き出されることはありません。
動作要件
CData Sync は内部で git コマンドを呼び出してリポジトリ操作を行うため、Sync を実行しているサーバー(マシン)に git CLI がインストールされている必要があります。git が PATH 上で実行できる状態であることを事前に確認してください。インストールされていない場合は、Git 公式サイトから OS に合わせて導入してください。
ライセンス
Git バージョン管理は CData Sync Enterprise ライセンス の機能です。Standard / Professional ライセンスではご利用いただけません。
バージョン管理のサイクル
CData Sync 上での操作(コミット&プッシュ / プル / 復元)を介して、接続した Git リポジトリと双方向に同期します。本記事では次のようなサイクルでワークスペース構成をバージョン管理する流れを構築します。

コミット&プッシュ — Sync 上での変更を Git にコミット&プッシュして履歴に残す
復元 — 過去のコミットを指定して、当時の構成にワンクリックで戻す
プル — Git 側で発生した変更(IDE での直接編集など)を Sync に取り込む。本記事の応用シナリオで使用します
設定手順
Step 1:Git リポジトリの準備
本記事では GitHub を例に手順を紹介しますが、CData Sync の Git バージョン管理は GitLab・Bitbucket・Azure DevOps・オンプレミスの Git サーバーなど、HTTP / SSH / PAT / OAuth のいずれかで接続できる任意の Git プロバイダーで利用できます。お手元の環境に合わせて読み替えてください。
GitHub で空のプライベートリポジトリを作成します。リポジトリ名は任意ですが、ここでは mysync とします。後ほど CData Sync 側から OAuth で認証するため、Personal Access Token などの事前発行は不要です。なおリモートブランチは事前に作成されている必要があるため、README.md などのファイルをあらかじめコミット&プッシュしてください。

Step 2:バージョン管理のセットアップ
CData Sync の管理画面にログインし、画面左側の「設定(ワークスペース設定)」→「Git バージョン管理」から設定ボタンを開きます。

次の項目を入力します。
項目 | 入力値(例) |
|---|
Repository URL | https://github.com//mysync.git
|
認証方式 | OAuth |
「アクセストークンを取得」ボタンをクリックすると GitHub のブラウザ認証画面が別ウィンドウで開きます。CData Sync アプリケーションへの権限を承認すると、設定画面に戻ります。PAT を発行する手間がなく、セキュアに設定することができます。

設定画面に戻り次へボタンをクリックするとブランチ選択画面になるので、紐づけるブランチを選択しセットアップは完了です。初期化が完了すると、画面下部のフッターに「N ファイルが変更されました」のステータスバーが表示されます。
「コミット&プッシュ」から現在のワークスペース内の設定をリモートリポジトリにプッシュすることができます。任意のコミットメッセージを入力後、「変更をコミット&プッシュ」ボタンを押してリモートリポジトリへ反映させることができます。

Step 3:ジョブを変更してコミット&プッシュ
次に、試しに接続とそれを利用したジョブを作成してみましょう。ここでは kintone から Snowflake へのレプリケーションジョブを例にします。接続とジョブを保存すると、フッターのステータスバーに変更ファイル数が「6 ファイルが変更されました」のように表示されます。
フッターの「コミット&プッシュ」ボタンをクリックすると再度モーダルが開きます。コミットメッセージを入力し(例: feat: kintone → Snowflake ジョブを追加)、「変更をコミット&プッシュ」を実行します。内部ではプル(rebase)→ コミット → プッシュが atomic に処理されるため、リモートに差分があっても自動的にマージされます。

コミット完了後、GitHub 側のリポジトリを確認すると jobs/ フォルダ配下に新しい JSON ファイルが追加されていることを確認できます。誰がいつ何を変更したかが、コミット単位で履歴に残るようになりました。

Step 4:アクティビティ > コミット履歴 で変更履歴を確認する
これまでのコミット履歴は、画面左側の「アクティビティ」→「コミット履歴」から確認できます。各コミットの日時・コミットハッシュ・コミットメッセージ・作成者が時系列で並び、コミットハッシュの箇所をクリックすると変更されたファイルと JSON の差分を確認できます。

GitHub 側のコミット履歴・ブランチ画面と同じ情報を Sync の管理画面内でも確認できるため、わざわざ GitHub を開かなくても変更の経緯を追えます。
Step 5:復元で過去のコミットへロールバック
誤って構成を壊してしまった場合や、変更前の状態に戻したい場合は、復元機能を使います。
「アクティビティ」→「コミット履歴」からロールバックしたいコミット行の「⋯」メニューを開き、「復元」を選択します。確認モーダルでは現在の構成との差分プレビューが表示されるため、内容を確認のうえ確認ボタンをクリックします。

復元の実行ではワークスペースの構成が指定したコミット時点の内容に書き戻されますが、その状態は自動でコミットされない点に注意してください。リモートリポジトリにも反映させたい場合は、復元後にあらためて「コミット&プッシュ」を行う必要があります。これによって「いつ・どの時点に戻したか」がコミット履歴として残り、後から追跡できるようになります。
まとめ
CData Sync の Git バージョン管理機能により、ワークスペースの構成を Git の文脈で扱えるようになりました。これまでブラックボックスになりがちだったジョブ・接続の変更が、コミット履歴として可視化され、過去の任意の状態へのロールバックも標準的なフローに乗せられます。Enterprise ライセンスをお使いの方はぜひ「設定」→「Git バージョン管理」からお試しください。また本機能の詳細については公式ヘルプのGit バージョン管理およびワークスペースの Git バージョン管理もあわせてご確認ください。CData Sync の 30 日間無償トライアルはこちらからダウンロードいただけます。
また、使っていて気になった点やご不明な点があれば、お気軽にテクニカルサポートまでお問い合わせください。